「疑惑の青年なのか?」ルース・エドガー 高之さんの映画レビュー(感想・評価)
疑惑の青年なのか?
僕にはルースが徹頭徹尾、序盤から終盤まで有能な学生にしか思えない。ある事件によって被害者と加害者に別れた双方の友人を(本来なら双方を救うのが不可能な状況で)救おうと、奮闘する青年にしか思えない。確かに、彼はいくつもの策略を用いたが、あくまでそれは友人を救うためであり、事件自体を表面化させ双方の友人を必要以上の窮地に陥れたのは、かの教師である。ルースが友人を救うために彼女に代償を払わせたのはむしろ当然であり、そこに邪悪さはない。
あえてルースの失点を挙げるなら、若気の至りゆえか、無能で視野の狭い教師をオチョクリすぎ、差別のそもそもの元凶、型に嵌めようと単純に物事を固定する社会の愚かさを、すべてその愚かな教師に(本来なら彼女は彼女で正当性があると底では気づきながらも)委託させすぎたのかと感じた。
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