「自分に見えていない部分に光を注ぎたくなる一作」ルース・エドガー ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
自分に見えていない部分に光を注ぎたくなる一作
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久々に映画を見ながら狼狽した。BLM運動と直結して見えたのは当然だが、それ以上に、いかに自分の暮らしがステレオタイプに溢れているか、それこそ普段見慣れた映画もまた「このキャラクターはこんなセリフは言わないはず」とか様々な固定観念に満ちた産物であるのを痛感させられたからだ。この難しい問題提起をあえてアフリカン・アメリカンどうしのやりとりであぶり出していく様が極めてスリリング。
幾つもの層から成る演技を見せたハリソンJRも素晴らしいが、対峙するスペンサー(役名は“ハリエット”)も抜群の凄みただよう。そんな二人が「この国は人々を箱に入れて分類する」とアメリカについて語る場面。そういえば本作には幾度となくロッカーが登場していたことにハッとさせられた。
感じ方、捉え方は決して画一的ではない。鑑賞することがゴールではなく、むしろ何度も見て議論を深め、自分に見えていない部分に光を注ぎたくなる一作だ。
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