SKIN スキンのレビュー・感想・評価
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本作が真実であるという希望
さしずめ令和に観る『アメリカン・ヒストリーX』である。単にレイシスト集団からの脱却を描く物語では無く、個人の抱える葛藤と憤り、苦悩の末導かれる過去との清算、支えとなる家族への愛情、異なる人種との会話、蔓延る悪業から剥離させる時間を、痛みを伴いながら綴る。嘗てを焼き尽くすには己の肌を焼く覚悟と犠牲を厭わなくてはならず、深い哀しみを伴う二人三脚を、ヘイトクライムの矛先であった黒人が担う点が、物語の核心に信憑性があり、希望へと昇華する。蔑みや好奇な眼差しを受け止め生き直す、この男の勇気を胸に抱き、社会を見つめ進みたいと思った。
実話だから仕方ない
終わり方に納得いかなかったんだけど、実話なんだからどうしようもないなぁと言った感じ。
自分は因果応報を推したいんだなと再認識できた。
タトゥーを入れたことを後悔してる人と会った事があるけど想像以上に消すのは大変なんだな、と感じた。
人は変われる
育った環境が違えば考え方も違う
でも人を愛することは、そんなこと超えたところにあるんだなと思った
とりあえず感情に任せて行動してしまう嫁と、差別主義者として歩いてきた旦那
冷静に考えれば似たもの同士
そこが惹かれたのかもね
有意義
実話もの。
いやー、こわいこわい。
暴力を繰り返す白人至上主義のカルト差別主義者(レイシスト)集団の共同創設者の男が、自らの犯したことに後悔と罪悪感を抱き、愛する人に出会ったことを機に普通の暮らしがしたくて脱会を企むのだが。
それを許さないと、脱走先の別の州まで追いかけてきて、脅迫、暴力、銃撃を繰り返すかつての仲間たち。
シーンのほとんど全てが暴力。
カルトがどうやって新規加入者を勧誘して取り込むのかの手口まで紹介し、卑劣な存在であることを浮き彫りにしていく。
観てるだけで痛くてつらかったし、いかにカルトから脱会するのが難しいかを示していた点でも、(面白いかは別にして)有意義な作品だと思いました。
白人至上主義は本質ではない
白人至上主義者の組織から抜ける物語だが、物語の上で重要なのはこの組織が殺人も辞さない犯罪集団というところだけで、白人至上主義は本質ではない。というのも主人公にしろ組織に残った人間にしろ、白人至上主義者だからこの組織に入っているわけではなく、組織に属しているからその思想に従っているだけだからだ。それはそれでリアルなのだろうが、物語が個人的なことの範囲に収まっていて、社会的な事柄につながっていかないことに不満を感じた。それとこれは自分の読解力不足かもしれないが、タイトルにもなっている肌という主題の扱われ方がよくわからなかった。
とはいえ普遍的な物語としては楽しめはする。
自我の思想よりも洗脳ありき
反ヘイトの活動家でもあるジェンキンスとの対峙や葛藤をする主人公の姿、二人を主軸に置いた物語は疎かに、実話を描いた説得力を盾にした甘えは拭えない。
そりゃ、彼の生い立ちや境遇から出来上がった姿は想像できるが、拾って育ててくれた恩のデカさが洗脳に近いモノに、まるで操り人形の如く。
唐突に女を愛し、何の躊躇もないような人生の方向転換、初めて自分の意志で決めたかにも見えるが、肝っ玉母ちゃんの思いのまま!?
一番の被害者は可愛い娘三人で振り回される展開が続くが、そんな肝っ玉母ちゃんの行動に慣れっこな一面も垣間見れるような、きっと三人とも父親が違うんだろうなぁ?
マルコムXとネーション・オブ・イスラムの緊迫した関係性や「アメリカン・ヒストリーX」でのラストまで考えさせられる問題、それらを思うと本作の描きたい方向性にブレを感じてしまう。
刺青を入れるのは痛いし時間も掛かるが完成した時の喜び、その反面に後悔する時期が来てしまうかもしれない恐れ、全部含めて除去する作業に耐える痛々しい苦しみ、あんなキレイに痕も残らずな医学の進歩??
白人至上主義、人種差別など人格の恐ろしさや集団心理の酷さより、単に洗脳ありきな、善し悪し以前に自分の信念は何処に、、、脳を洗う場所が肝心!?
相手役のキャスティングが絶妙
白人至上主義の組織を運営する夫婦に育てられ、自分もレイシスト集団を創設し運営している主人公が、そこから抜けようと思ったきっかけはあるシングルマザーとの出会いで、ベースにその女性と3人の娘との絆が描かれる。組織は自分勝手な信念とともに暴行、放火殺人などをしており、裏切り者に密告されるのを防ぐために本人だけでなく女性と娘たちにまで及ぶ脅迫が続く。映画はそのストーリーを追いながら、同時に全身に彫られた主人公のタトゥーを消す痛々しい施術を順に描く。
育ての母親がヴェラ・ファミーガというのも興味深いが、相手役の女優がかなりぽっちゃりした、アメリカの一定以下の層に多くいそうな体型の女優というのが、この映画のポイントになっているように思う。これが、多少役作りをしたとしてもシュッとした女優さんだとジェイミー・ベルの熱演もきっと活かされないのである。
機会があればこの映画の元となった短編の方も衝撃的で面白いので是非。
試される映画です。
あまりにも号泣したため、イマイチ記憶が鮮明であると言い切れない状態です。
自分のこれまでの倫理観を試されたような気分です。彼らの行ったことを心から納得して許すことは大変に難しいことです。しかし、断罪することで状況が良くなることは一切ありません。悲しいことですが、あのような致命的な犯罪者、人類の敵とも言うべき最低な思想を持つ人たちと「我々」(と思い込んでいる隠れた差別主義者たち)は完全に同じ人間です。そこを認めなければ永遠にこの憎しみあいから抜け出すことはないでしょう。
肌、言葉、思想、宗教。
何度かこの投稿が投稿直前に消えてしまったので、「もういいや!」な感じになってるかもしれません。ごめんなさい、投稿画面使い辛いです…。
コロナウイルスの件も相まってヘイトな何かに敏感な昨今に投入された、程々エグい教科書的な作品でした。
skin=表面を繕う。←無意識な差別が強い我々(日本人)も、こういった所から学ばないと溺れかねない傍にある話だな、なんて思いましたね。
初めて知ることが多かったです
実話を元に制作されたらしく、エンドロールでは、ご本人登場しました。
ストーリー的には、とても良かったです。でも…なぜ、ジュリーと出会って、心情の変化があったのか、いまいち分かりませんでした。人は、簡単には変われないと思うんですよね…。もともと、嫌々ながら、悪行を行っていたのでしょうか…。そんな感じにも見えなかったけどな。白人至上主義者の話でしたが、その象徴とされるタトゥーには触れてましたが、活動シーンは少なかったかな…。
どちらかというと、脱会しようとするブライオンへの執拗な脅迫が、映画の中心だった気がします。彼らにしてみれば、裏切り者ですものね。途中、タトゥーを消すシーンが入り込むので、逃げ切れたんだと思いながら観ていましたが、気分のいいものではなかったですね。
ジュリーの子供が、普通に、このタトゥーを入れたいみたいなことを言った時には、親の影響って怖いな…と思いました。タトゥーを消すシーン、痛々しかったです。若気の至りではすまされないですね。
タイトルなし
公開したばかりということで簡単な感想のみで
「おい!ぼかし!!」
以上
ジェイミー・ベルに注目していたので
大好きなあのお方が出ているとはつゆ知らず、上がりました!
(途中まであの方だとはわからなかったけどw)
そして短編の「スキン」にも出ていた
ダニエル・マクドナルド
彼女、素晴らしいですね。
Netflixの好きな作品の
「アンビリーバブル たった1つの真実」
にも出演していたんですね。
(そういえば短編スキンの少年は
「IT イット」のジョージーでしたね⛵)
短編とはテーマが違うようなので
切り離して考えてもよいと思います
普通の生活下に戻る難しさ
恥ずかしながら実際に存在したヴィンランダーズという組織も、社会的に起きた事件の事も全く知らなかった。もう15年以上も前になる事だから特に若い世代の者にとっては馴染みのない事件なのではないか。
この犯罪組織はいわゆる白人至上主義者。しかし現在も白人主義に限らずあらゆる差別主義者、団体はまだまだ存在している。
それらを照らし合わせながら観賞すると非常に見応えがあり同時にまだまだ根絶するには時間が必要だという悲しい現実を痛感させられる。
主人公のブライオンも幼少時代から絶対的な差別主義の下育てられ大人になった。
愛する人を見つける事で今まで自身がしてきた差別、差別による暴力を始めとした悪行を悔いることとなり改心するのがこの作品のメインストーリーとなる。
そうはいっても人が改心し普通の生活を送れるように戻るには簡単な事ではない。
長年培って育ってきた暴力性はそう簡単に消すことはできない。なにか問題があるとやはり暴力的にそして感情的になり中々物事を上手く進められないブライオン。
そして次にやはり犯罪組織を抜けるのはそう容易いものではない。自身、そして愛する者の命を狙い奪われ、更なる苦しみを与え続けられるブライオンであった。
この作品ではヴィンランダーズという犯罪組織の詳細を描くというより、そういった組織から抜け出す事への苦しみや心の葛藤を描いていた為思いの外見易く、色んな人が見易い作品であったように思う。
まぁ本来この作品で描かれているブライオンのように一度手を染めた犯罪や、いわゆる悪が正しいという洗脳下から抜け出すことはそう簡単な事ではないと思う。
ヒューマンドラマとしてもっとその辺を詳細に見たい気もしたが、抜け出す苦しみといった点にスポットを当てた作品として見るのであれば期待以上に見応えはあったと思う。
劇場公開数が少ないが決してマニアックな作品ではない為気になる人は是非観て欲しいものだ。
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白人至上主義集団「ヴィンランダーズ」の創設者の一人で役員のブライオン・ワイドナーが、そこから脱会した実話に基づく話。
「ヴィンランダーズ」は知らずに鑑賞したけど、現在のKKKの一つといえる存在。
NORDIC FESTAと冠したヴィンランダーズのイベントに、生活費の為にミシガンからやって来たシングルマザーのジュリーと3人の娘。
彼女達を茶化したメンバーを諫めたところから交流し展開していく。
映画だし、尺が限られるので仕方ないけれど、洗脳解除があまりにも急で、もうちょいその辺の件が欲しかったかなとは思うけれど、命懸けで悍ましい集団と対峙し、我慢し、決断していく様子が、哀しく力強くとても面白かった。
以下本編上映前に併映された「SKIN 短編」のレビュー。
本編との関連はないフィクションだけど、同じく白人至上主義思想を持つ男の話で、衝撃的な差別思想に胸クソ悪さと気持ち悪さ全開。
たった20分で展開する悲しい結末はかなり衝撃的で、映画として非常に面白かったけど、他のヤツらもいたよね、と物足りなさも感じた。
ただ、この展開を是としてはいけないし、面白いと思うのも間違いだし、物足りないと感じるのはとんでもないことだよね。…☆4.5
「棄教」には救いがきっとある
短編版には絶望しか感じ得なかったが、この長編版には希望があった。
警官による黒人殺害事件をきっかけに、米国の分断はあらたなフェーズを迎えている。
悲観的な未来感に陥ることなく、かすかな希望をこの映画のように失いたくない。
とてもよかった
スキンヘッド集団のメンバーが、道を改めようとするのだが顔面に多数の刺青をしていたため大変な苦労をする。ヒロインが3人の子持ちの太ったシングルマザーで、なかなか主人公と同調するのが難しい。彼にしか分からない魅力や、母性などがあるのだろう。そもそも実話ベースだというので、実際の彼女に寄せているのかもしれない。
レーザー治療がめちゃくちゃつらそうで、身の毛がよだつ。常々後戻りできないようなことはしない方がいいと考えているのだけど、改めてそう思う。
ヘイトの仮面を剥いだ人間
本作が特筆すべきなのは、ネオナチ集団が新メンバーを加入させる経緯を見せている点。貧困ゆえに生活苦で学校にも行けない少年少女たちをスカウトして、“構成員”にしていく。だから、差別主義からではなく、生きていくためにネオナチをやっているという者も存在していることが明かされる。
それゆえに、彼らは必ずしも一枚岩ではない。彼らの間にもヘイトが存在する。
そうした上辺だけのファミリーではなく、真のファミリーを求めてネオナチを脱会しようとする主人公ブライオン。
顔に刻まれたタトゥーはヘイトの象徴であると同時に、不安を隠すためのペルソナ(仮面)。ネオナチとして犯してきた罪を痛悔すべく、そのペルソナを痛みを伴いながら剥がし、彼はパーソン(人間)となったのだ。
やはりネオナチを脱会した人物をモデルに描いた、『アメリカン・ヒストリーX』と併せて観てほしい。
ブライオン役のジェイミー・ベルは、もう「『リトル・ダンサー』の子役」という紹介が不要なほど、順調なキャリアを重ねている印象。
愛の形は見た目ではわからない? Sweet to me.
2019年91回アカデミー短編映画賞を受賞した「Skin(2018年公開・上映時間20分)」...その短編映画を先に鑑賞をすることに...約20分に仕上げた時間の中に起承転結がはっきりとしたシナリオに加え、ラストが見ている立場や考え方の違いで人種差別との決別とも取れ、これからまたチェーンリアクションのような血を血で洗う泥沼の人種間の戦いが今まさに始まるともとれる内容が実に曖昧でなく、はっきりと二つの方向に分かれるシナリオとなっていた。
そして同名であり同監督による演出の本作...見る前にある懸念が頭に浮かぶ...アカデミー賞を受賞したからって、そのまま竹輪のように肉付けをしただけの安直なシナリオにしていないだろうなと....?
Burn that soil! Burn that soil!
No Nazi's, no KKK!
相反する人種同士のにらみ合いながらのアジテーション....これって見たからに子供の遊びの”花いちもんめ”じゃん、あれっ⁉ 皆さん肩組んでいるし..真剣な暴力的な場面なのに..フフッ
There's a threat to our people. And I'm here to say it's not because
we hate anyone else
I don't hate the Jenks, the niggers, the Muslims or the dykes.
I don't hate them. They have a right to live.
But we say,
"Not on our American soil!"
So maybe we should just....
make them leave!
この映画の主人公であるブライオンの育ての親であり、ネオナチを彷彿とさせる白人至上主義の小規模コミューンのリーダー、通称ハンマー・クレイガーの演説を聞けば大方、この方の主張や彼の行動の底流に流れる人格形成がわかる。
この映画の取っ掛かりとなるピットブルの愛称のある主人公のブライオンの亜流のような幾何学模様のタトゥーを入れた精悍とも言える横顔を見れば、それだけで好奇心をかき立てられるように映画を見たくなるのは人の人情といえる...それとも元来持っているピーピング・トム的性格からか? ともかく始め思っていた凄惨でギミックを使ったゴア表現のオンパレードの対黒人差別を描いた映画と思っていたが...
ストリートキッズだった者が犬のように拾われ、閉鎖された社会...小規模コミューンでの酒・ドラッグ・欲望だけで愛のない性行為・ただ肌の色が違うだけで意味も分からず人を差別し、暴力をふるう....人として何か大切なものを失い知らずにいた人間としての再起。
想像もできないある意味モンスターの純愛・ラブストーリー映画となっている。
Can I be honest?
You're on the FBI watch list.
I-I just don't.... I can't help you.
-Nothing? .... -No.
何も言わずに彼らの元を離れ、ジュリーと3人の義理の娘と暮らしたいが為に日本で言うハローワークにあたる ”An Employee Services” に行っても現実はとても厳しい...その上、彼らからの執拗で凄惨な”掟”がブライオンのわずかな希望も奪い去ろうとしていた。
この映画では612日をかけた実際にタトゥーの除去される経過とその痛みの様子が描かれていて、今はやりの芸能人のプチ・タトゥーなんてしようと考えている方は、この映画のシーンを見てからでも遅くはないかもしれません...まあ、そんな人は他人の忠告なんて大きなお世話さまなんてね?
この映画を見ていて、救いだったのが義理の末娘を演じていたコルビ・ギャネットさん。ごみ溜めのような映画の内容に動物を愛し、屈託のない笑顔を絶やさない、演技か?本人の気質か?宇宙人か? その演技に.....拍手 パチパチ
リアルな元ネオナチグループ、ヴィンランダーズソーシャルクラブに所属していたブライオンをイスラエル出身のガイ・ナティーブ監督が描くって、もっと差別主義者を偏った考えで描くのかと思えば2018年に公開された映画とは内容が大幅に違うけれども根底に流れる人種差別の偏見を訴える姿勢を持ちながら彼の生きざまをストレートに描き切っている演出が成されていると個人的に思える。ただしラストのシーンは少し曖昧さが気にかかる。
余談として...実際のブライオンとジュリーの対比した写真とリアルなブライオンの人物像を詳しく載せているサイトもあり、それとは別に映画の予算の大人の都合で主演のジェイミー・ベルのタトゥーを書き換えるお金が無くて数日間そのままで食事をしたりしているとスタッフすら近づかなくなったとこぼしていたそうです。
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