「自然とsynchronizeする彼女の生き方」ハニーランド 永遠の谷 h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)
自然とsynchronizeする彼女の生き方
養蜂を営むなかで自然からの恵みをいただく北マケドニアのひとりの女性。出来上がった蜂蜜を決して独り占めすることなく、蜂や自然と共存する姿がとても印象的だ。
そこに突然、村やってきたトルコ人一家。彼女やその周辺にとってnoiseでしかない。大量の家畜を放ち、教わった養蜂でも出来上がったものを全て搾取し売り払おうとする姿は、自然界に飛び込んできた「文明」を表現している。
女性の生活どころか、周辺の自然を破壊していく様は、残念ながら私たちの生活する姿そのもの。
徹底した生産性向上、効率化の近代化された社会の縮図に他ならない。
では彼女のような生活ができるかと問われれば、自分含め誰もできる話ではない。
人との設定がほとんど隣の家族(彼女にとっての「好まざる来訪者」)しかないので、彼女と社会の接点が見当たらない。自由を享受するというのは、こういう状況のことなのかもしれない。
厳しい自然環境のなかでの「自由」をとるか、制約された不自由ななかで自動化された「快適」環境を享受するか。
ときおり空中を飛ぶ戦闘機の姿が印象に残っている。
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