「戦車映画史上最高傑作では?」T-34 レジェンド・オブ・ウォー ダイナミック完全版 sengoku2501さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0戦車映画史上最高傑作では?

2020年2月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

素晴らしいの一言に尽きます。

最近の戦車映画といえば「フューリー」がありますが、USA!USA!のノリ、戦争の汚さ、ご都合主義が不協和音を奏でていて、映像とリアリティ(一部ご都合主義につぶされてますが)しか見どころがなかった。

しかし「T-34」は違います。エンターテインメントとリアリティを高度に融合させ、ドイツを極悪に描くこともなく、バランスが良い。

エンターテインメント性は観たらわかります。観ましょう(笑)

リアリティについて。冒頭の戦闘だけでもこれでもかというほどに詰め込まれています。
まず戦車はCGではなく実車です。T-34は冒頭の「T-34/76」、中盤以降の「T-34/85」共に本物。敵の3号戦車も忠実に再現したレプリカ(最初は実車使用予定だったがエンジントラブルでレプリカに)。そしてそれぞれの戦車のスペックや機能も史実に忠実再現。

T-34/76(主人公)
★4人乗り(車長は砲手を兼ねる)
★車外視察装置は固定式でバラバラに設けられている。車長が砲についていると、砲向正面以外は見えない。
★無線機は指揮官車のみ。
★車内通話装置なし。
★砲は76mm砲で当時最強の威力(ただし分間発射弾数は低い)
★装甲は厚く、傾斜装甲であり強力。車体を斜めにすれば傾斜効果が増す。敵の3号戦車では正面装甲を絶対に貫通できず、側面を射撃しても完全貫通は厳しいため、近距離かつ装甲に対してなるべく直角になるように撃つ必要がある。

3号戦車J後期型(敵)
★5人乗り(車長は指揮専門)
★車外視察装置は各部のものに加え、車長専用のコマンダーズキューポラ(ハッチ閉じても上部から360°見渡せる)がある。車長は独立しているので常に周囲を確認できる。
★全車に無線機搭載。
★声帯の震えを直接拾う方式(騒音あってもクリアな通話)の車内通話装置を、装填手以外全員が装着。
★砲は50mm砲。T-34の76mm砲登場で時代遅れになってしまった(ただし分間発射弾数は高い)
★装甲は薄め。主人公のT-34/76に横から撃たれたら完全に貫通する。車体を斜めにして傾斜効果を稼ぐしかない。

とまあ、作中影響してくる「実際のスペック」は上記くらいですが、これ「全部再現」してるんだもん(笑)すごすぎる。
どう作用するかは実際に観てください。絶対に劇場で見たほうがいいです。音響も作りこまれているから。
あ、あとこれはないでしょって意見があった、作中出てくる飛行機「シュトルヒ」ですが、実在であり20mあれば着陸できる凧みたいな性能を持ってます。
中盤以降は主人公・敵共に戦車が新型になり、これまたリアル。

話は変わって、ドイツを極悪に描いていないのもまたいい。確かに収容所ではひどいことしてるが、敵側主人公はいい意味でプライドを持っていて人間味もある。

とにかく観たらわかります。エンターテインメントに振ったリアル戦車戦映画(多少ご都合主義なところはあるが)です。

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