「つばめや星ばあの誰かを想う気持ちに、今年一番泣いた。」宇宙でいちばんあかるい屋根 tackさんの映画レビュー(感想・評価)
つばめや星ばあの誰かを想う気持ちに、今年一番泣いた。
まずこの作品は清原果耶さんありきで藤井監督は製作したのが凄くわかる。
つばめの純粋さと凛々しさが果耶さんにすっぽり被さる、というか果耶さんはつばめそのものだ。
藤井監督、デイアンドナイトで素晴らしい演技を披露した果耶さんを信用しきっているんだなあと
わかった。それに答えている彼女も本当素晴らしい。本当凄い女優さんが出てきた。
星ばあ演じる桃井かおりさんも、彼女のキャリアがあるからこそ、言葉一つ一つに重みを感じた。
最後、つばめに話しかけてるシーンは役を通り越して、これから長い女優人生を歩むだろう
果耶さんに語り掛けているように思えた。本編ではそこが一番泣けたな。
最後、星ばあの孫のマコトが写っている写真も泣けた。
孫にとってはあまり思い出のない祖母かもしれないが、
孫を想う気持ちって会った回数や話した回数じゃないんだろうな。
それこそ屋根の上から見ているみたいなものだろう。
去年、亡くなった祖母の事を思い出し、帰り道10分くらいずっと泣いてしまった。
あと個人的に最後、書道の先生が15年後のつばめの水墨画を見て微笑んで終わり、
エンドタイトルが出るが、凄く美しいエンディングだった。
編集も素晴らしかった。
先生役の山中崇さんの笑顔も素敵だった。
本当、名脇役ですね、彼は。
あと、伊藤健太郎くんもなかなか良かった。
清原果耶さんの演技は、その一挙手一投足に見入ってしまう。
ちょっとした細かい引きつった笑いや、あと星ばあがいなくなったと
悟った15秒ほどのアップでの表情の変化。
役というものを着飾っているわけではなく、
等身大に演じている感じがする。
松岡茉優さんみたいな。
藤井監督は『デイアンドナイト』、『新聞記者』に続き3作目だったが、
今度は全く違った内容の作品で、素晴らしい作品を出してきた。
まだまだ若いから、これからもとても期待して待ちたい。