「つばめよ 地上の屋根は」宇宙でいちばんあかるい屋根 へねみこさんの映画レビュー(感想・評価)
つばめよ 地上の屋根は
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何より、清原果耶ちゃんの才能が光る作品。意外にもこれが初主演とのことだが、自分から発する演技、受ける演技、喜怒哀楽の表情…一つ一つが丁寧に表現されていて素晴らしき。この先、どんどん磨かれていくんだろうなぁ。
主演を支える他キャストの演技もさすが。星ばあの汚さ(いい意味で!)と可愛らしさ(孫を目にしたとき)を見事に演じた桃井かおりさん、爽やか姉思いちょっとボンクラ青年がハマっていた伊藤くん、「青の帰り道」に続いて男運ない女性を巧みな台詞回しで演じた清水くるみちゃん、ワルだけど実はいい奴ちょいおバカっぽい誠くんの醍醐くん…。俳優陣すべてから目も耳も保養させていただいた。
作品に関して…最初はもっとファンタジー感あるのかなと思ったら、次第にそれを忘れてしまうくらいのストーリー展開。これは、星ばあがつばめと親交を深めていったり、家族と再会できたりすることで、人間くささが増した(不思議感はなくなった)ことをあらわしているのかな。描かれている時が何年か前の設定だったり、つばめが遠慮しがちの性格だったり、つばめの友人トリオがデリカシーの欠片もない感じだったりする理由も(裏SNSに書かれていたって皆の前で本人に直接伝えるとは…)、無理なく説明する押し付け感もなく自然に流れていく良さもあった。
藤井監督の作品は、(ヒロインの日本語演技が無理あるので「新聞記者」を除いて)空間的・明暗的にも好きな作品が多いのだが、本作も場面ごとの風景の素晴らしさがよく伝わってきた。(屋上がセットみたいでちょっとチープだったが…)
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