「奇跡みたいな時間が続々と目の前を通り過ぎていく映画。」佐々木、イン、マイマイン 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
奇跡みたいな時間が続々と目の前を通り過ぎていく映画。
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現代のパートも過去のパートも、決定的な瞬間や事件はほとんど描かれない。どこかからどこかへと向かう途中の時間をすくい上げて、その時間にある豊かさやかけがえのなさ、宙ぶらりんのリアルさなんかをみごとにシーンに昇華させている。終盤はちょっとまとめに入ってしまった気はしたし(ラストはまとめないぞというまとめだとも言える)、映画内で描かれる演劇がダサめなのが気になったりもしたのだが、それにしても、素晴らしい演技と撮影によって緻密に生み出された現実の揺らぎみたいなものが随所で立ち上ってくるので、終始スクリーンから目が離せなかった。贅沢な体験でした。
あと鈴木卓爾。佐々木の父親をあのビジュアルとあの声のトーンで演じたセンスと佇まいに心から震えた。いい演技だらけの映画だけど、とりあえず2020年の助演賞は鈴木卓爾一択でいいんじゃないかと思ったりしました。
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