「どこでだって佐々木コールを!!」佐々木、イン、マイマイン はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
どこでだって佐々木コールを!!
佐々木っ!佐々木っ!
劇場を出てからも頭の中で佐々木コールがリフレインしている。暑苦しくて無鉄砲。誰よりも自由で誰よりも孤独な男。
佐々木と佐々木コールを叫んだ仲間達との青春を確かに体現した。
20代後半。東京で売れない役者をしながらくすぶる日々を送る悠二。別れたはずの恋人とは未だ同棲中。
仕事先で偶然高校時代の友人と再会したことかをきっかけに当時の思い出がフラッシュバックする。仲の良かった4人組。その中心にはいつも佐々木がいた。
山梨。田舎の真っ直ぐに伸びた道路を学生服の佐々木が雄叫びを上げながら全力で駆け抜ける。自転車の仲間達をおいてけぼりに。
何かを払拭するかのように。
いつも明るくバカなことばかり。なのにどうしてこんなにも寂しそうなんだろう。その裏には恵まれない家庭環境があった。抱え込んだ孤独を埋めるかのように今日も佐々木が全裸で躍り狂っている。
「人は誰かといたって孤独を感じる」
この言葉が忘れられない。まさに佐々木がそうだった。そして悠二も。この世界に生きるきっと誰しも。
悠二が立つ舞台と回想シーンが絶妙にリンクしていくのもお見事でした。
本当に藤原季節が素敵です。泣きの演技が上手すぎる。そして細川岳が佐々木その人で、もう、完璧なキャスティングだった!
踏み出したり、立ち止まったり、大切な人と別れたり、失ったり。
会えない時間にもそれぞれの人生が間違いなく進んでいる。
それでも佐々木はいつまでも佐々木で、悠二はこれからも悠二だ。
辛い時も孤独な時も。どこでだって佐々木コールを!!
痛快なラストシーンに胸が踊った!
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