配信開始日 2020年6月18日

「現実を痛いほど直視している"セカイ系"映画」泣きたい私は猫をかぶる わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0現実を痛いほど直視している"セカイ系"映画

2020年6月18日
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予告編を観たときから映画館で見ることを待ち望んでいたけども、Netflixによる独占配信。今の状況を考えると英断と言って良いのかもしれない。

特に音楽とか映像美とかは"映画館で必ず見なければ!"という使命感を抱かせるようなものはない。ただ、"アニメ作品"でしか表現できないセカイ系映画だと思った。

主人公はそれぞれの生活背景から"現実から逃げる"日々を送っているように見える。でも、作品を見進めるにつけて、"逃げる"と思っていた行動が実は痛いほど現実を直視しているんだということに気付いてくる。逃げているんじゃなくて、『居場所』を探しているんだと。このあたりの脚本のさりげなさが見事。

告白シーンでとあるフレーズを言われたあとの涙までの表情の切ないこと。これは実写ではどんな名女優でも再現不可能だと思う。

お互いに"太陽"がキーワードで繋がっているのも良い。

不満点は少々ネタバレになるかもしれないが、

・なぜあの男の子が"主人公"に恋しているのかの説得力に欠けるように見えたこと
・寿命を奪うこと=悪と言い切ってるように描いていること
・猫の世界をもっと描かないと、カタルシスに欠ける(人間の世界でこそ生きていきたいという必然性を描いて欲しい ここについては意図的な空白(見る側に想像させるためにあえて語らない)ではないように思える)

でも、主人公の女の子の考え方には共感できるところが多くて、見てよかったと思える1本です。志田未来さんの声を特に違和感なく楽しませてもらいました。

わたろー