「特別価格だけど、それも納得の見事な映像を堪能できる一作。」キンキーブーツ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
特別価格だけど、それも納得の見事な映像を堪能できる一作。
ブロードウェイミュージカルの名作を、『ミス・サイゴン』(2016)などの撮影で定評があるブレット・サリヴァン監督が映像化(同姓同名の映画監督もいるが、こちらは『パニック・チェア』などいわゆるB級ホラー映画の分野で活躍している)。ミュージカルの映像化はお手のものなのか、役者をクロースアップで捉えるだけでなく、時には客席側にカメラを向ける余裕も。パンやズーム、カット割りを多用するため、ミュージカルの全体像を観たいという観客の評価が分かれるかも知れないけど、映像と音楽の臨場感は素晴らしいの一言。入場時に特別料金であることを知らずに心折れそうになっていたんだけど、途中から「この映像を体験できるのなら、安い!」と思えるようになりました。
ミュージカルのマイクの仕込み方など、意外な発見も楽しめたし、全てを計算ずくで撮影しているようで、ほんの数カ所、恐らく意図していない動きのためにフレーミングが不自然になってしまった場面があるところも、むしろライブ感を高めていました。
主演のキリアン・ドネリーとマット・ヘンリーは2015年の開幕時のオリジナルキャストとのこと。オリジナルの舞台と今回とで、どのように演技が変化したのか、そういった後追いの楽しさも詰め込んだ作品です。
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