「もはや地球上のあらゆる場所を走破した彼らの行き先が気になる一作。」ワイルド・スピード ジェットブレイク yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
もはや地球上のあらゆる場所を走破した彼らの行き先が気になる一作。
「ワイルド・スピード」シリーズとしては「TOKYO DRIFT」(2006)以来の鑑賞だったんですが、15年を経てあまりのカーアクションのインフレぶりに思わず笑ってしまいました。
本作では超絶カーアクションだけではなく、主人公ドミニクと父親、そして弟との確執にかなりの描写を割いていて、それが上映時間の長さに繋がっています。しかしこのドラマパートが非常に上手くカーアクションと融合しており、アクションの間の箸休め、的な緩みは一切ありません。なおかつ彼らの関係の変化がアクションのクライマックスをぐんと加速させる仕組みになっており、上手いなー、と感心しつつ、終盤では思わず涙ぐんでしまいました。
公開に先立って、本作を含めて後三作でシリーズの終了が発表されていましたが、第一作では30歳代だった主要キャストも現在は50歳代。年齢的にも仕方のないところもあるのですが、やはり寂しいですね。加えて、車社会のアメリカでも新車販売台数が減少傾向にあるという現在の社会背景も反映しての決断なのかも知れません。そう思うと、ガソリン車全盛の時代を懐かしむような作品だった、『フォードvsフェラーリ』(2020)と同様、本作にも一抹の寂しさを感じます。
本作において、ついにドミニク達は地球上のあらゆる場所を走破したことになるんですが、残る二作はどこが舞台になるんでしょうか。「モンスター・バース」シリーズと融合して、ゴジラと戦いつつ地底世界を爆走、とかやって欲しいんですが。