劇場公開日 2020年9月11日

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「岩井俊二的中国映画」チィファの手紙 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0岩井俊二的中国映画

2025年7月3日
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鑑賞方法:映画館

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岩井俊二監督が中国で撮った映画で、原作も岩井自身が日本で映画化した『ラストレター』と同じもの。製作はこっちのほうが先で、日本版の2年前に中国で公開されている。まず脚本を作り、それを日中韓でそれぞれ映画化する企画を立て、それと並行して小説化もしたとのこと。岩井監督が韓国で撮ったネスレ公式サイト内「ネスレシアター」用に制作されたショートフィルム『チャンオクの手紙』(主演はペ・ドゥナ)を長編化したらどうなるか?という発想が企画の出発点だったそうだ。ただし韓国版はコロナ禍もあってか結局作られなかったようだ。僕は『ラストレター』のほうは未見で、小説も未読。『チャンオクの手紙』は観た。

いい映画だった。やはりどことなく日本映画的な香りもするが、中国に合わせてちゃんと設定をローカライズしており、それでいてやはり中国映画にはあまり見られない雰囲気の映画になっていた。主演のジョウ・シュン目当てで観たんだが、パンフに載ってたインタビューでジョウ・シュン本人も言ってた通り、ここまで普通の人を演じるジョウ・シュンは初めてかもしれない。やっぱりいい女優だ。

先輩役のチン・ハオという男優をはじめ他の俳優陣もみな好演だが、なんといっても若い頃のチィファ(チィファの娘と2役)と若い頃の姉(姉の娘と2役)の2人の少女俳優が素晴らしい。その若い頃のチィファ(チィファの娘と2役)を演じてたほうが、かつては天才子役と呼ばれ今や華表奨で最優秀主演女優賞を獲るまでに成長したチャン・ツィフォンである。

なお、『ラストレター』は群像劇的な作品になっているらしいが、そちらと違ってチィファが明白な主人公になっている理由は岩井俊二によると「なんといってもジョウ・シュンの存在が大きい」とのこと。そうですよね。岩井俊二としてもジョウ・シュンと組めるなんて夢のような話だったろうし、彼女が出る以上その存在感と演技力的に彼女が中心の映画にならざるを得なかっただろう。

バラージ
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