「【相手を想い、心を込めて書いた”自筆の手紙”は時空を超えて人と人を結びつける。それは何処の国でも同じなのである。】」チィファの手紙 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【相手を想い、心を込めて書いた”自筆の手紙”は時空を超えて人と人を結びつける。それは何処の国でも同じなのである。】
ー今作品とストーリー展開が”ほぼ似ている”「ラストレター」を2020年1月に鑑賞し、内容の素晴らしさに圧倒された。
その余韻が未だ残る中、中国を舞台に「你好、之華」日本タイトル「チイファの手紙」として公開されることになり、「ラストレター」と比較しながら鑑賞するのは、”出来るだけ脳内で制御しよう”と思いながら、劇場へ足を運んだ。
■今作の素晴らしきところ
1.劇中、静かに奏でられるピアノの音色も効果的に、生徒会長として輝いていたチィナン、妹のチィファが密かに転校生イン・チャンに憧れつつ、インチャンがチィナンへの想いを綴った恋文を切なそうに預かるシーン。静謐なトーンが、美しくも切ない雰囲気を醸し出している。
2.中国のここ30年の経済発展(特に劇中の現代パートでのラスト、イン・チャンが橋から眺めていた高層ビル群(北京オリンピック前からの上海周辺の高層ビル建設ラッシュは凄かった・・))が、この作品の中国の急激な時代の変化を絶妙に画として表している所。
3.現代パートと過去バートの”手紙”を介しての繋がり方。
4.大学時代、チィナンの心をイン・チャンから引き離し、彼女と同居していたジャン・チャオをイン・チャンが訪ね、安酒場で青島ビールを飲みながら、且つての想いを語るシーン。
そして、ジャン・チャオが自らの想いを激しくイン・チャンに叩きつけるシーン。
5.チィナンがこの世に遺した姉弟。その弟の悩みと解放の表し方・・。
(日本版では妹チィファの子供が姉弟であったが、中国の一人っ子政策を考え、設定を変更したそうである。)
<そして、チィナンがイン・チャンから定期的に貰っていた手紙が入った箱をムームーとサーランが開け、多くの手紙をムームーが”お母さんの宝物だった・・”と言うシーンや、
あの卒業式の答辞をチィナンとイン・チャンが書き上げ、現代パートで母チィナンから残された遺書:封筒に入っていた答辞の文章が読み上げられるシーン
にはやはり、胸に熱いモノがこみ上げてしまったのである。>
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<以下は、「ラスト・レター」鑑賞後レビューアップした文章である。内容に触れている部分もあるので、未鑑賞の方は気を付けて下さい。>
ー 年に数度だが、両親に自筆で手紙を書く。
電話でも良いのだろうが、何だか味気ない気がするのだ。ー
今作品が素晴らしいのは、手紙が人と人を結びつける様を静謐なトーンで、美しい風景を背景に自然に描き出している処である。
又、ストーリー展開も重層的ながら、破綻なく描いておりとても良い。
未咲の元夫、阿藤陽一というキャラクターがワンシーンだけ出る。
乙坂鏡四郎(福山雅治)と阿藤が、安居酒屋で十数年振りに会うシーンである。
阿藤の傲岸不遜だが、繊細な面を併せ持った複雑で、鬱屈した姿を豊川悦治が凄みを帯びた圧倒的な演技で魅せる。
このシーンは今作の中では異質のトーンで描かれるが白眉である。
阿藤が乙坂に言う。
”未咲の人生にはお前は微塵も影響を与えていないんだよ。今度小説を書くのなら、一人称では書くな!”
このシーンがあるからこの後の乙坂の場面が効いてくる・・・。
当初、”未咲が何故そんな男と・・”思っていたが、惚れるよなあ、この男の”圧”には。(実際に現在も中山美穂さん演じる美しい奥さん(内縁の妻かな?)がいるし・・・。)
乙坂が、阿藤との男としての器の違いを感じて、がっくり肩を落として歩く姿が印象的だった・・。
その乙坂が小説家として一冊だけ本を出版したあと、本を出せなかった理由もきっちりと描かれている。
乙坂が一年間だけ通った”ナカタガイ”高校の現在の風景を写す中に現れた”幻影”のような美しき少女二人の姿が鮮烈である。
驚きつつも、事情を察し乙坂が吹っ切れた感じで、二人の写真を撮る姿。
ラスト近くの乙坂と裕里(松たか子)の別れのシーンも良い。
自分に長年憧れていた裕里からあのような台詞を言われたら、男だったらもう一度、”夢”を目指すよなあ。
乙坂が彼女に手渡したモノ。
それは、彼らの青春の残影、そして未來に繋がる大切なモノ・・。
<自筆の手紙が、時空を越えた様々な恋を導く様を描いた秀逸な物語である。そして、彼らが”再生して、前を向いていく様”を描いた物語でもある。>
NOBUさん
いつも温かいコメントありがとうございます。
日本映画界はまだまだ課題もありますが、私たちが観客としてできる範囲でサポートしていきましょう!
NOBUさんへ
お易い御用です!と言うか、トレーラーでは「徹底して史実を調べ上げた」と言う事だったんですが、日本人ミリヲタ視点では、かなり残念なシナリオでした。日本人が考える敗因と、アメリカ視点の勝因には、大きなギャップがあるんでしょうね....
NOBUさんへ
ただ今ミッドウェー開場待ちのミリヲタbloodです。ジョウ・シュンさん、可愛かったですね。久しぶりに見ましたが、永作博美みたいに可愛く歳を重ねてる感じで良いですね!
NOBUさんへ
「いま会いに行きます」の韓国版も良かったんですよ、ベタベタでしたけど。何か、海外版と比べられるのがイヤな人でも居るのかw
何にしても、お蔵入りにならなくて良かったですね! 結構、染みてます。
NOBUさんへ
私も同じく「日本版と比べちゃダメ」と思いながら観てました! が。画の作りとか、役者さんの違いは、嫌でも印象に残ってしまいましたw
ティナン役の女の子は、飛び抜けて良かったです。ノックアウトですw