キネマの神様のレビュー・感想・評価
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ストーリーがベタすぎて、あまり新鮮さもなく、感情移入は出来なかった...
ストーリーがベタすぎて、あまり新鮮さもなく、感情移入は出来なかった。
志村けんが出演するはずだったと思うと、重ねて観てしまいちょっと切なかった。
北川景子が昭和の女優の雰囲気が出ていて、思いの外良かった。
題名に違和感
「2021年。監督・脚本:山田洋次。原作は原田マハの同名小説。
映画を愛する山田洋次スピリットいっぱい詰まった映画です。
劇中映画が小津安二郎監督の「東京物語」
主役の北川景子が昭和の銀幕スターそのままの美しさとオーラ。
ケタ違いの美しさにうっとり。
なかなかいいと思うのですが、今ひとつ沢田研二のキャラクターに
共感を持てませんでした。
助監督だったゴウ(菅田将暉)は、初監督作の撮影初日に大ケガをする。
才能の無さに気付いたゴウはそのまま、撮影所を去る。
そして撮影所のそばの食堂の看板娘・淑子(永野芽郁)は、
そんなゴウに付いてきてくれる。
そして50経て、妻の淑子(宮本信子)と娘の歩(寺島しのぶ)に、
博打と酒の借金を払わせ続けているダメ親父のゴウ(沢田研二)
妻と娘(宮本信子と寺島しのぶ)が、どうしようもなく所帯やつれしている。
苦労してきたんだ。
妻と娘を幸せに出来てないんだ。
やはり男として失格!!
そして沢田研二も寅さん調でそこそこ演じてますが、ゴウの影の部分。
夢破れた「絶望」「諦め」「自分への失望」「妬み」
そう言った「人間の弱さ、哀しさ」を少しも表現していない。
まぁ、これは脚本の責任でしょう。
沢田研二の見た目も「呑気な父さんの緩みと匂い」を強く感じてしまいます。
映画って観たお客さんが感動して泣くものですよね。
出演者たちが泣いてどうするんだ!
って、思ってしまいました。
(コロナ禍を盛り込んだのも、志村けんさんがゴウ役の予定が
コロナで亡くなり、そこをどうしても描きたかったのでしょうが、
映画の完成度を欠いた原因かも知れません)
ラストの辻褄合わせも、思いつきの域を出ず、深みはないですね。
普通に楽しめました
明るく楽しい娯楽映画。
松竹の記念映画とのことで、キャストもかなり豪華だった。沢田研二は、明らかに志村けんの代役としての自分を意識していて、たまに、志村けんを彷彿とさせるところもあって、でもそれゆえに、全体的に演技演技してしまったなぁと思う。ちょっともったいない。
本来、結構演技はできていたと思う。昔のカッコ良かった頃のジュリーの映画は良かった。
なので、今の沢田研二として演技してもよかったのではと思った。若い頃の沢田研二役に菅田将暉を起用したあたりは、とてもよかったです。
懐かしい感じ
園子さんの美しさに最初、この新人女優さん誰なのだろうと思いました。北川景子さんはつり目だし別人だと思いました。ただセリフが棒読みと言うか彼女と沢田研二さんだけ浮いている気がしました。
この映画の題名を検索すると志村けんさんが出てきて、沢田研二さんが代わりに演じられたのですね。なんとも言えない気持ちになります。志村けんのゴウちゃんも観てみたかったな。最後の方で沢田さんが「東村山4丁目」を歌うのも志村さんへ捧げたかったからでしょうね。友情に感動。
しかし淑子とテラシンが面接で再会した時、すぐに気付かないのが不思議です。年齢、名前、声や顔でピンと来そうなものなのに。
辛い記憶の残る100周年映画
志村ケンさんの訃報でとん挫した映画と言うことで話題になりましたね、喜劇の巨匠山田監督が志村さん主役で渥美さんと違ったどんな味を引き出すのかと興味津々だったのでがっかり、同じ事務所の縁でジュリーが代役というのもびっくり、全然イメージが違うじゃないですか。
折角のジュリーなのに劇中で唄うのが東村山音頭ですからジュリーにはまったくお気の毒。
ケンさんへの追悼の想いが勝ったのでしょう、ジュリーも所々ケンさんを真似たようなとぼけたリアクションをしていましたね。
ただ、あまりにも自己中のダメ老人なので誰がやっても引いてしまうと思いますがジュリーはキレ方がリアルなので怖いです。モデルは原作者原田マハさんの実父とのこと、ギャンブル好きで借金まみれ、どうしようもない人だが情に熱く憎めない人柄だったとか、難しい役どころ、監督がケンさんを選んだわけが察しられました。
松竹100周年ということで往時の花形、清水宏監督(劇中では出水宏)や小津監督(小田)、原節子(北川恵子)さんをもじっていますね、清水監督は嘘っぽい演技を嫌う人で実際に「役者なんかものをいう小道具」という暴言を残しています、リリーフランキーさん怪演でした。
劇中でゴウが書くシナリオで二枚目俳優がスクリーンからとび出てくるアイデアはバスターキートンの喜劇からインスパイアと言っていましたが、ウッディアレンの「カイロの紫のバラ(1985)」のまんまですね。木戸賞100万円としていましたが実際の城戸賞の副賞は50万円です。
映画通ならすぐわかりそうなつっこみどころを入れるのも「キネマの天地(1986)」同様の山田監督らしいくすぐりに思えます。
コロナのパンデミックで映画界も苦境に立たされている現状も織り込んで奇しくも辛い記憶の残る100周年映画になってしまいましたね。
キネマの神様、私たちをお守りください
映画「キネマの神様」(山田洋次監督)から。
本来なら、主人公ゴウを中心に「キネマの神様」をピックアップして、
「カットとカットの間に神が宿るんだ。映画の神様が」とか
「第一回監督作品、題名も決まっています」「なんていうの?」
・・・「キネマの神様」などを取り上げたかったけれど、
コロナ禍での鑑賞となってしまったので、こんな会話が引っかかった。
若い頃「なんとかしてお金を貯めて、東京の郊外に小さな映画館を建てて、
そこで僕の好きな映画を、映画を愛する人たちのために上映する。
それが遠い夢です」と言い、それを実現した、映写技師テラシン。
「大変なことになったわね」と心配する主人公の娘は、こう言い放つ。
もうすぐ緊急事態宣言で、休館になるんでしょ、ここ」。
そんな会話をしながら、弱気になるテラシンは、
「この歳でこんな目にあうとはな。もうダメだ、歩ちゃん。
おじさんはやっていく自信がなくなった」と、途方に暮れていたが、
最後に、神棚に向かって、手を打ち、こう祈る。
「キネマの神様、私たちをお守りください」
そう、どの世界にも「〇〇の神様」はいるんだ、とメモをした。
今、いろいろな場所で「〇〇の神様」に祈っている人がいるんだ、
そのことを忘れないために「キネマの神様、私たちをお守りください」
このフレーズを残そうと思う。
PS.
エンドロールには「さようなら 志村けんさん」の文字。
本来、主人公ゴウを演じるはずだった彼、コロナ感染で他界し、
その意思を継ぎ、沢田研二さんが代役を務めた話を後から知った。
「あなたを愛したから、神様にであえた」・・なるほどなぁ。
山田洋次監督が懸命に作った力作
紆余曲折を経て、昨年(2020年)夏に公開された山田洋次監督作品だが、公開時には申し訳ない…と思いながらスルーした映画。ようやく鑑賞。
実際に観てみると、「現代と過去(50年くらい前)とのパラレル・ドラマ形式」になっており、過去ドラマの方が素敵な感じで大船撮影所なども良く撮られていたと思う。
ただ、過去パートで「小津監督などのような映画ではなく、スクリーンから映画スターが飛び出して来て観客とやりとり…」というあたりは、ウディ・アレン監督作の二番煎じであり、個人的にはやや残念だった。
また、劇中のテレビで「新型コロナのニュース映像」(横浜のクルーズ船)も流されて、明らかに脚本を書き換えた箇所と分かり、その後の「テアトル銀幕」という映画館の中などでもマスクしている人だらけとなるあたりはコロナ禍を明確に描いている。
途中で、沢田研二が「♪東村山音頭」を歌うあたりは、当初予定どおりなのだろうが、沢田研二には気の毒な気がした。
テアトル銀幕で上映された映画『東京物語』では、小津安二郎監督が撮った場面(汽車が走る場面)と山田洋次監督が北川景子を使って撮った場面が混在している。
北川景子に原節子の代わりはハードル高過ぎだが、頑張っていたのは感じられた。
山田洋次監督は、自分が映画少年だった頃から映画館で感動を与えてくれた映画監督であり、ACTミニシアターでのトークショー、柴又に行った時に偶然の「とらやロケ」に遭遇(倍賞千恵子さん、伊藤蘭さんのロケ)、『家族はつらいよ』完成披露試写会での出口での監督ご自身での見送りいただく…など何度もお会いして尊敬している監督の一人。
これまで、山田洋次監督作品は74本観ているので、本作が75本目。
本作は、新型コロナ前に製作発表されたものの、新型コロナが始まった2020年の主役=志村けんさん死去、主役を沢田研二さんに変更、脚本修正、公開しようとした2021年には沢田さんと連絡取れないだったかの公開日がなかなか決まらなかったこと等々、新型コロナに振り回された映画のひとつ。
山田洋次監督が懸命に作った力作であることを強く感じる映画であった。
<映倫No.122417>
原作とは完全に別物
先日動画配信サービスにて鑑賞
当方
子供の頃から「男はつらいよ」ファンでほぼ全シリーズをみていてラッドウィンプスファンの自分としてはなんとなく気になってた作品だが、映画館いくのもなあと考えてた
まず思ったのは皆さん意見が分かれてる通りジュリーの演技について、味はあるが正直うまいとは思えなかった。
しかし、他のキャストも宮本信子なども普段よりもわざとらしい演技になってる気がしたので
監督などからそういう演技指導があったのかな?と思った。
脚本は志村けんに向けてあてがきをしたということだったが、正直ジュリーの方が合ってるような気はした。
また志村けんへの敬意で東村山音頭が組み込まれていたがあまりに露骨に感じジュリーの曲や昭和歌謡へ変えてもいい気はした。
また原作と全然違うとのコメントも多く
興味があったので原作も読んでみた。
原作の内容は確かに全く違う内容で
非常におもしろくゴウとローズバットの友情やゴウと娘の家族愛の描き方など最高で、山田洋次がその様を描いたらどんなにおもしろかっただろうと思った。
松竹の100周年記念作品で菅田将暉や野田洋次郎を使ったりすることが決まっていたのかなと感じた。
映画のストーリーの若い時は夏目漱石の「こころ」を連想させるし、無理やり作った感じがあり必要性性はあまりなかった。
菅田将暉を使うことが確定していたなら、ばるたん役で使って大幅に出番を増やすとかにするべきだったのでは。
山田洋次の回顧録のような感じになっていて
それはそれで別の映画で作った方が面白くなったよう気はする。
良かった点としては北川景子が昭和のスター女優を演じているがそれがとても似合っていた。
またゴウが賞を受賞して書いた手紙を娘がスピーチするシーンは感動的でグッと涙を堪えた。
山田洋次は家族愛などを描かせたらやはり上手だと思う。
またクレジットシーンのうたかた歌も素晴らしかった。
原作とは完全に別の映画としてみたらぼちぼち秀作ではあると思うので日本映画好きな方は見てみてもいいかと思う。
合掌
単なる松竹映画100周年記念作品だけに終わらずに、コロナ禍を記憶する映画ともなったことで、本作はきっと未来まで長く記憶される映画になると思います
本作は松竹映画100周年記念作の冠がついています
それでは、松竹映画の設立記念日はいつのこと?
調べてみるとこのようです
1920年(大正9年)2月11日に「松竹キネマ合名社」が映画の製作・配給を目的に設立されました
同時に広大な撮影所用地と人材募集の新聞広告を出しています
松竹キネマ蒲田撮影所ができたのは、この1920年の6月25日、第1作が公開されたは11月1日のことでした
しかし、そのどれも創立記念日ではないそうです
では、いつが松竹映画の創立記念日なのでしょうか?
少しややこしいのですが、それとは別の「帝國活動冩眞株式會社」という映画会社が、1920年11月8日 に東京本郷に設立されていて、この映画会社を「松竹キネマ合名社」が吸収合併します
それが翌1921年4月28日のこと
合併後の新社名を「松竹キネマ株式会社」としますが、商法上の存続会社は「帝國活動冩眞株式會社」になるそうです
ということで、松竹映画の正式な創立記念日は、この「帝國活動冩眞株式會社」の設立日ということになるようです
つまり松竹映画の創立記念日は、1920年11月8日が正解だそうです
良く似た題名の「キネマの天地」は、松竹大船撮影所設立50周年記念作品です
松竹大船撮影所は1936年1月15日の開所です
同作は1986年8月の公開でしたからちょうど50周年だったのです
蒲田撮影所から大船撮影所に移転した理由は、蒲田撮影所が手狭になってきたこと、トーキー時代になって近隣の騒音からも逃れる必要があったからだそうです
さて本作は同作と同じ山田洋次監督です
山田監督は1954年に松竹に入社されたそうです
野村芳太郎監督の助監督などをされて1961年に30歳で監督デビューされています
それが本作で描かれている松竹大船撮影所です
つまり松竹映画100周年の歴史は、「キネマの天地」と本作「キネマの神様」の両方をみないとならないわけです
本作の主人公ゴウは、山田監督の助監督時代の様々な思い出が投影されているのだと思われます
ゴウの年齢は78歳と劇中で紹介されます
ということは、回想シーンの助監督時代は50年前の28歳頃のことでしょう
ん?計算が合いません
2021年の50年前は1971年です
本作の回想シーンに登場する映画や服装や自動車などは1950年代後半のそれです
回想シーンは50年前ではなく、65年前ぐらいの松竹大船撮影所の話なのです
山田監督はあえて、計算が合わないことを承知でご自分がこの松竹大船撮影所でリアルタイムで働いていたころの様子を再現されているのです
個人的なノスタルジー?
それもあるでしょう
しかし、その時代こそが松竹映画の黄金期であったからそこそ、その時代の松竹大船撮影所に計算が合わなくとも時代を設定して描かれたのだと思います
登場人物や描かれるエピソードは野村監督や小津安二郎監督など、当時大船撮影所で活躍していた今では伝説の巨人たちの逸話がてんこ盛りです
だって山田監督はその現場の目撃者なのですから
生き証人なのです
劇中に何度も登場する小料理屋・船喜
松竹大船撮影所の近くに実在した松尾食堂がモデルだそうです
松尾食堂は松竹大船撮影所ができてしばらくしての開店だったそうです
助監督時代の若い山田監督は、この松尾食堂の小上がり陣取っている川島雄三監督らに、劇中のゴウのように御用聞きのように通っていたそうです
他にも渋谷実監督や大島渚監督など、日本映画黄金期の巨匠から松竹ヌーヴェルバーグの若い新進気鋭の監督までそうそうたる映画人が通っていたお店だそうです
劇中でゴウが自分ではそうそう行けない店だという台詞があるように、撮影所の人間でも通えるのは、監督、所長、役員ぐらいの高級店だったようです
淑子もモデルがいるそうです
こちらも松竹大船撮影所の近くにあった食堂「月ヶ瀬」の看板娘の益子さんと目されています
益子さんは二枚目スター佐田啓二に見初められて結婚したことで有名です
中井貴一の母になった方です
本作は松竹映画100周年記念作品なのですから2020年に公開してこそ意味があります
ですから公開予定も、当初2020年12月の予定だったそうです
それがご存知の通り、この年の正月明けからコロナパンデミックとなってしまいました
主演予定の志村けんさんがコロナに感染して2020年3月に急死されてしまい、さらに緊急事態宣言も発令されてとうとう撮影は中断となってしまったのです
映画館も休館要請により、上映できなくなっていました
ただでさえシネコンに押されて経営の苦しい名画座は多くが廃館の瀬戸際にありました
本作の撮影中断だけでなく、沢山の映画が公開延期に追い込まれました
世界中の映画館の休館
それは映画界全体の危機だったのです
本作には、劇中にコロナ禍のニュースが挿入され、マスク姿で登場するのはそれを記憶するためのものです
テアトル銀幕の経営危機もコロナ禍の影響によるものに置き換えられています
松竹映画100周年記念作品を超えて、コロナ禍を映画界が乗り越えていくメッセージとして本作は作られているのです
主演の代役は沢田研二と決まり2021年4月公開を目指して撮影を再開したものの、その公開予定もコロナ禍の猛威で再延期となり、結局2021年8月6日に公開された訳です
その日も第4回目の緊急事態宣言の最中のことでした
しかし本作は厳しいコロナ禍の中、撮影を無事完了させて、映画館で公開されたのです
今日は2022年4月上旬です
コロナの感染者数は一進一退で、なんとなく増えつつあり第七波が来るかもという声もあります
それでも多くの街の名画座も、シネコンも様々な創意工夫で営業を継続されています
新しい新作映画も次々に公開されています
映画の灯はパンデミックに打ち勝ちつつあるのです
映画界の皆様の大変なご活躍と努力のおかげだと思います
コロナ禍のなかでもおして映画館に行った映画ファンの力でもあったと思います
それと、もしかしたらキネマの神様がお力を貸して下さったのかも知れません
本作で描かれた松竹大船撮影所は、2000年6月30日に閉鎖されてしまいました
もう22年も前のことになってしまいました
今はもう跡形もないようです
それでも松竹映画は続いています
これからも新作映画を沢山見せてくれるに違いありません
コロナ禍に直撃されたこそ、本作はそのメッセージを強く私達に伝えています
素晴らしいシナリオで、山田監督にしか書けない見事なものだと思います
ラストシーンは「キネマの天地」のラストシーンと相似形となって締めくくられています
映画から映画の登場人物が飛び出して主人公と交流を始めるというのは、ウディ・アレン監督の1985年の映画「カイロの紫のバラ」が元ネタです
ゴウが語る構想そのままのお話です
沢田研二と宮本信子は、惨めに貧しくただ老いて行くだけに見える団塊世代にも、恋と理想に燃えた若い時があったことを見事に演じていたと思います
懸命に生きて来たけれど、結局何も上手くいかなかった
けれどもずっと愛し合っている妻と娘と孫が残ったのです
それだけで十分じゃないですか
何も惨めなんかじゃ全然ないのです
沢田研二はあれくらいアクを強くしないと惨めさが強くなりすぎてしまうからあの演技なのだと思います
志村けんでも同じようにはじけてみせたと思います
それも菅田将暉と永野芽郁の好演があってこそ引き立ったと思います
特に永野芽郁の演技は心に残るものでした
北川景子は1950年代の映画スターそのもので感嘆しました
特に白黒映画の中の彼女は本当に当時いた女優のような風情で何の違和感もないものでした
寺島しのぶもさすがの演技でした
単なる松竹映画100周年記念作品だけに終わらずに、コロナ禍を記憶する映画ともなったことで、本作はきっと未来まで長く記憶される映画になると思います
賛否両論あると思うが...
沢田研二さんのファンでしたので、久しぶりに見ました。
別に沢田研二さんの演技がどうだとかいうのではなく、シネマファンに向けた賛美歌的映画です。
派遣社員の辛さ、世間の冷たさ、生きていく中での不条理さ、色々語りかけてくるものが多かったです。俳優さんの演技はいまいちでした。北川景子さんの目力の強さと綺麗さが際だっていたくらいです。
でもコロナの時期も重なり、ほんとにリアリティぽく偶然に評価されるべき傑作になりうる一作だと思います。
良くも悪くも山田組
奇をてらった作品を嫌う私には安定感すら感じる。
ただ飛び抜けて優れた作品ではないが、千切れ千切のストーリーになってても観ていられるのは、それなりのちからがある証拠と思いたい。
キャストも話題の俳優が出てて、一瞬違う作品と見紛うくらい、過去のパートと現代パートの雰囲気が違う。
過去のパートは菅田将暉らが彼らなりの演技力を見せてくれて、昔はこんなだった…と感じさせてくれる。
一方、現代パートでは沢田研二を中心に人情劇らしい雰囲気を全般に出させており、ともすればオーバーな演技で統一されてる。
映画館頑張れ的な作品でもあるが、実際100万では今時の映画館の機材は揃わないので焼け石に水だから切ない。DCPの規格を否定しても仕方ないがDCPのプロジェクターとHD、それに合わせた音響をセットで買うとそんなんでは済まない。
だから、夢物語みたいな内容になってしまう。
映画館の小劇場を救うのは難しい…これが時代の流れか…。
キネマの神様からの贈り物
全編、映画愛に包み込まれた心温まる気持ちになる作品である。観客に夢を与えてくれる作品である。夢のある作品である。前半は、山田洋次監督お得意のリアルな主人公家族の物語であり、リアルな割に殺伐感はなく、温かさが画面から伝わってきたのは流石。ようやく後半になって、題名通りの主人公がキネマの神様から贈り物を授けられたような、夢のある展開になり胸が熱くなった。
今作の主人公は、ギャンブル依存症の78歳の老人・ゴウ(沢田研二)。彼は度重なる借金で家族を困らせていた。彼は、青春時代、今も親交のあるミニシアターの館主・テラシン(小林稔侍)とともに映画撮影所で働き、名女優、大監督に触発され映画人としての将来を夢見ていた。夢叶わずにいたゴウの人生だったが、あるきっかけで、埋もれていた彼の才能が一気に開花するチャンスが訪れる・・・。
主人公の青春時代の華やかで活気に満ちた撮影所の雰囲気、女優・桂園子役の北川景子の美しさが、当時の映画隆盛を彷彿とさせる。全編を俯瞰した映画作り、役者の所作の一つ一つに妥協しない映画作りなど、対象的な映画作りをする監督たちの対比が面白い。当時は癖のある監督が多かったようだ。個性的な映画作りが個性的な作品を生み面白い作品に繋がっていくと推察する。
沢田研二の名演とともに光っていたのが、菅田将暉と永野芽郁である。青春時代の主人公は、映画監督を目指し独創的アイデア考え出していくが、当時の撮影現場スタッフには理解できない。次第に苛立ち苦悩する主人公の姿を菅田将暉が全身を使って激演している。また、食堂の看板娘・淑子役の永野芽郁の、明るく元気で眩しい佇まいが、魅力に溢れている。ストレートな台詞回し、瑞々しいナチュラルな演技がGood。
ラストシーンは、ファンタジーであり主人公の願いをキネマの神様が叶えてくれたと解釈する。ラストシーンに山田洋次監督の映画愛が凝縮されている。感動的だった。
山田洋次監督のイメージで見ると違和感があるかも
原作未読者の感想であることをお許しください
男はつらいよ、家族はつらいよシリーズなどが大好きで、山田洋次監督の作品だと思って期待して拝見したのですが、期待したものは得られませんでした。
沢田研二さん演じる主人公も不器用さ上の生き方というよりは、罪悪感なく周りに迷惑をかけている様な感じがしてあまり好きにはなれませんでした。
こういった種類の作品が好きな方もいると思いますし、他の監督の作品と思ってみればいい作品だと思います。
亡くなった志村けんさんへ対する追悼の意が込められていたのかもしれませんが、後半に出てきた新型コロナのニュースや、緊急事態宣言などの話題が本来作ろうとしていた(と思われる)ノスタルジックな雰囲気に対してミスマッチが強いと思いました。
例えるなら、老舗の和菓子屋でタピオカが出てくるような痛々しさが目立った感じがします。
数奇な運命を辿って届けられた贈り物
松竹映画100周年記念作品。
Blu-rayで鑑賞。
原作は既読、ノベライズは未読です。
映画愛に溢れた原作の映画化が発表された時、こんなにも本作が社会情勢に翻弄されるとは誰が予想したでしょうか。
緊急事態宣言で撮影中断を余儀なくされただけでなく、志村けんさんが新型コロナによって帰らぬ人になるだなんて…
果たしてどうなるんだろうか。本作の公開を楽しみにしていた私はどれほどの悲しみに暮れたことか分かりません。
完成が危ぶまれる中諦めなかったスタッフやキャスト、代役を引き受けた沢田研二さんの想いに強い感動を覚えました。
残念ながら映画館に観に行くことは出来ませんでしたが、今回鑑賞し、映画愛に溢れた作風と映画を通して人生を取り戻そうとする男と彼を見守る家族の物語に心温まり、「いい映画だったなぁ…」と心の底から思いました。
数奇な運命に翻弄された本作ですが、情熱と信念が結晶し、これ以上無い素晴らしい形となって届けられた贈り物のように思えました。本当に「キネマの神様」は存在するのかもしれないと思わずにはいられませんでした。
[余談]
原作で描かれていたテーマを維持しつつ、ゴウが青春を捧げた撮影所時代のエピソードを新たに構築すると云ったオリジナリティー溢れる物語に改められていて、キネマの天地・松竹のアニバーサリーに相応しい作品だなと思いました。
[追悼]
現代のゴウのシーン。ジュリーもいい味わいのある演技をしていましたが、志村けんさんならどう演じていただろうかと、どうしても考えずにはいられませんでした。
特に東村山音頭を歌う場面。志村けんさんを偲ぶシーンでした。本来ならご本人が歌う楽屋ネタ的な楽しいシーンになっていただろうになと考えたら思わず涙がこぼれました。
バカ殿様が幼少期から大好きだったし、未だに亡くなったのが信じられない。志村けんさんの生み出す笑いが本当に大好きでした。改めて、心より哀悼の意を表します。
※修正(2023/08/05)
いい映画 を見た。
あまり高評価ではないのが意外だったが、私にはすごく良かった。単純に、山田洋次が好きなんだと思う。何でもないシーンでもなんか泣けるんだよなぁ。キャストは前田旺志郎がピカイチ。何気にお兄ちゃんも出てたし笑
志村けんが亡くなり、映画自体がなくなるんじゃないかというところを、沢田研二を代役にして実現したのが凄い。またそのキャスティングが。他の役者では逆にダメだったと思う。沢田研二も良かったけど、やっぱり見れば見るほど志村けんで見たかった。ハマり役だよ。東村山音頭はマジで泣けた。
全280件中、41~60件目を表示