劇場公開日 2021年8月6日

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「山田洋次監督が懸命に作った力作」キネマの神様 たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5山田洋次監督が懸命に作った力作

2022年5月1日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

紆余曲折を経て、昨年(2020年)夏に公開された山田洋次監督作品だが、公開時には申し訳ない…と思いながらスルーした映画。ようやく鑑賞。

実際に観てみると、「現代と過去(50年くらい前)とのパラレル・ドラマ形式」になっており、過去ドラマの方が素敵な感じで大船撮影所なども良く撮られていたと思う。
ただ、過去パートで「小津監督などのような映画ではなく、スクリーンから映画スターが飛び出して来て観客とやりとり…」というあたりは、ウディ・アレン監督作の二番煎じであり、個人的にはやや残念だった。

また、劇中のテレビで「新型コロナのニュース映像」(横浜のクルーズ船)も流されて、明らかに脚本を書き換えた箇所と分かり、その後の「テアトル銀幕」という映画館の中などでもマスクしている人だらけとなるあたりはコロナ禍を明確に描いている。

途中で、沢田研二が「♪東村山音頭」を歌うあたりは、当初予定どおりなのだろうが、沢田研二には気の毒な気がした。

テアトル銀幕で上映された映画『東京物語』では、小津安二郎監督が撮った場面(汽車が走る場面)と山田洋次監督が北川景子を使って撮った場面が混在している。
北川景子に原節子の代わりはハードル高過ぎだが、頑張っていたのは感じられた。

山田洋次監督は、自分が映画少年だった頃から映画館で感動を与えてくれた映画監督であり、ACTミニシアターでのトークショー、柴又に行った時に偶然の「とらやロケ」に遭遇(倍賞千恵子さん、伊藤蘭さんのロケ)、『家族はつらいよ』完成披露試写会での出口での監督ご自身での見送りいただく…など何度もお会いして尊敬している監督の一人。
これまで、山田洋次監督作品は74本観ているので、本作が75本目。

本作は、新型コロナ前に製作発表されたものの、新型コロナが始まった2020年の主役=志村けんさん死去、主役を沢田研二さんに変更、脚本修正、公開しようとした2021年には沢田さんと連絡取れないだったかの公開日がなかなか決まらなかったこと等々、新型コロナに振り回された映画のひとつ。

山田洋次監督が懸命に作った力作であることを強く感じる映画であった。

<映倫No.122417>

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たいちぃ