「セリフで話を進める」キネマの神様 りかさんの映画レビュー(感想・評価)
セリフで話を進める
本作しか知りません。
若い頃のゴウが、責任の重圧に体調悪かったりケガしたりしたけれどもそれで退職するというのが理解しにくかったです。本人自身、脚本も書くぐらい映画を愛し作品を生み出す意欲も力も持ち合わせていた筈であるにもかかわらず。
また、社長が、若いゴウを監督に抜擢したぐらいなのにすんなりと辞めさせるのもわかりませんでした。
ゴウの若い頃と現在の姿も繋がりにくく、現在の姿になるほどギャンブルにのめり込んでいたのかどうか、若い頃からは想像できませんでした。
しかし、各箇所でセリフでそのように決定づけています。授賞式の場面でも、娘の歩が代読したメモ書きがはたして泣ける文章だったでしょうか。歩も淑子も泣き病室のテラシンも「さすが脚本家。」と褒め称えていましたが、あの短文では理解できません。
映像では噛み合わないいろんなチグハグな要素をセリフでこうだと断定して脚本家や監督の思い描く方向へとムリムリ引っ張っていこうとする作品に感じました。
全世界自粛が飛び交う悪夢のような非常事態宣言の中、ダメージを食らった映画界をどうにか立て直したい気持ちからなのでしょうか。
あの娘歩が代読したメモの文章力で伝統ある脚本賞がとれるわけない、と思ってしまいました。
共感とコメントを有り難うございます。ですよね、ですよね。オール同感です。おっしゃるように、セリフの横暴、セリフによる強引な方向づけも同感です。
授賞式でのメモ書きに至っては、こちらの顔が赤くなるような思いがしました。
りかさんへ
大好きな山田洋次監督ですが、後半生の「母と暮せば」の浅野忠信の登場や、この作品での沢田研二による東村山音頭など、作品と本質から離れた安易な観客サービス的演出が気になっています。