「過去と現在がつながらない」キネマの神様 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
過去と現在がつながらない
原田マハの原作を換骨奪胎して、映画化したとのこと。原作未読だが、ゴウとテラシンの若い頃の撮影所時代の話は、全くのオリジナルだそうだ。
それにしても、過去と現在が全くつながらない。菅田将暉と沢田研二、野田洋次郎と小林稔侍が同一人物とは思えないし、人間関係もよくわからない。
若い頃の撮影所を舞台に、ゴウ、テラシン、淑子の三角関係がサブストーリーになっているが、テラシンと淑子、ゴウと園子をペアで描いていながら、いきなり撮影現場を逃げ出したゴウを淑子が追いかけて一緒になるとは?その後、ゴウと淑子は今までどうやって生きてきたの?そもそも、あの程度で逃げ出すゴウは、一体何なの?
テラシンと淑子の再会のシーンも、描き方が雑。映画館の名前で気付かずに、フランクキャプラに引っ掛けて、クリスマスの奇跡とは…
宮本信子が大根に見えてしまった。役者陣では、唯一、北川景子がさまになっていた。
新型コロナの影響を強く受けた作品だからこそ、新型コロナの刻印を残したかったのだろうが、その結果、要素の詰め込みすぎ、過去と現在で時間軸が合わないという欠陥を残してしまった。
黒澤明と同じように、山田洋次も老いてしまい、作品の完成度は度外視して、本人がやりたいようにと、周りから許されているのだろう。
ところで、出水宏監督のモデルの清水宏と山田洋次は、松竹で一緒に仕事をしていないと思うけど、強い思い入れがあるのだろうか。「キネマの天地」の主人公の相手役・中井貴一のモデルも清水宏だったような…
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