「豪華な長編再現ドラマ」MOTHER マザー にあさんの映画レビュー(感想・評価)
豪華な長編再現ドラマ
これだけ酷い事件があったのだから
みなさん社会に目を向けてくださいね
詳細は各自で調べてください
そのメッセージしか受け取れなかった
現実では少年は母親の指示があったことを認め
少年が語ったそれまでの体験が本になっていると聞く
そこには彼の気持ちが、
どんなふうに振り返っているかが書かれているのでは…?
そこが描かれなければ意味がないというか
再現ドラマの垂れ流しで集まるのはその場限りの同情
その先に繋がるステップが見えず
ただの悲劇の傍観者となったような。
どんなことをされてもさせられても母親が好き、
そんなのは誰しも分かりきっていて
だからこそ難しいという話に
踏み込まれていなかったのがとても残念だった。
映画内では
周りで関わってる大人全員ろくでもなくて
市の職員やスタッフたちもあまりに中途半端
本来これだけのことが起きていれば
いくらでも通報して介入して
子供たちを救えただろうすぎる場面が多すぎるために
なぜこうなったのか、
どうしたらこうならなかったのか、
今後同じようなことが起こらない社会は
作れているのか?作れるのか?などを
考えるフェーズに進めず、
社会問題の実写としても、
社会に対する問題提起としても
描き方があまりにも下手に感じた。
しかしまともな親の元で
まともに教育も受けられずに育った子が
もし映画通りあそこまで真っ直ぐに育ったのなら
それは奇跡だと思う
常識も倫理観もない世界のなかで横道に逸れず
あんなにしっかり育つなんて本当にすごい
本気で向き合えば救える命や心がいくらだってあるのに
それができるだけの予算も十分あるはずなのに
少子化が急激に進む中で
虐待件数は毎年過去最高を塗り替えて行く現状
いくらこういう作品が評価されようと
何も変わらずむしろ悪化していく社会で
個人にできることなんてないように思う