劇場公開日 2020年10月30日

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「ブラザートムの救済的存在感」とんかつDJアゲ太郎 ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ブラザートムの救済的存在感

2025年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

幸せ

コロナ禍の余波を受け、公開後も伊勢谷友介と伊藤健太郎が不祥事、
挙句の果てには、フワちゃんまで芸能界失踪中と、
「衣はサクサク、中はジューシー」のはずだった、
アゲアゲ映画っぷりは鳴りを潜め、
作品の中身以上に、周辺事情をイジらサゲサゲモードへ突入する受難映画となったが、
ジャンプシリーズの、集英社漫画原作らしさはたっぷり詰まっており、
主人公は友情を大事にし、努力を重ね、最後は勝利を収めるわけだし、
タイトルの響き以上には悪くなかった印象だった。

生意気な登場人物が嫌いな傾向の私にとっては、
こういった思春期映画、青春映画は当たりはずれが分かれるところで、
DJだのミュージシャンだの、甘えん坊のニートだの、
いけ好かない連中ばかりのキャラ満載ぶりは、正直嫌悪したのだけれど、
主人公の父親であるブラザートムの存在が、
唯一無二の救済的存在感を醸し出しており、
これが救いとなって、なんとか鑑賞完走できた次第。
小柳トムがいなければ、早々に脱落してたかもしれない。

ブラザートム(小柳トム)自身、幼少期の思い出として「お笑いスター誕生」に出てた頃から、
頭髪モジャモジャで訳のわからないネタを披露していて、
子供ながらに「なんだか信用ならぬオトナだな、、、」と、
疑心の念で見ていたのだけれど、
オジサン年代に入ってからの、俳優としてのブラザートムは、
清涼飲料水的な喉の渇きを一時潤す、爽快感ある存在として度々登場している。

たとえば「記憶屋 あなたを忘れない」で、喫茶店マスターとして登場するブラザートムは、
彼をワンクッション挟むことで、情報量多すぎでごちゃごちゃしそうなストーリーの展開を、
「整理させる」ような働きを果たす脇役だ。

今作でも主人公が、危うい方向に進みそうな展開場面で、
父として目力で睨みを利かす事で、一旦落ち着かせる働きをしている。
休憩所ポイント、ワンリリーフポイント的存在としてのブラザートムのおかげで、
主人公は方向修正できたし、結果的に良い方向へ主人公も観客も進んだ。

こうした、いぶし銀的な渋い脇役がいると、
若気の至りで変な話になりそうな危うさも、消え失せるのだなぁと思った。

まぁそんなブラザートムの相方も、
不祥事で「やらかし者」だった事は映画とは無関係なので、
それ以上は、あえて触れない。

良かった演者
ブラザートム
加藤諒

ソビエト蓮舫
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