ソニア ナチスの女スパイのレビュー・感想・評価
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運命に翻弄される…
とは彼女の人生そのもの。ナチス統治下のノルウェーで、ナチス賛美の演劇をしていた彼女は実際どうだったのだろう。父親はレジスタンス。仕方なく女優として生きていく術としてナチスに付き合っていたのかもしれない。父親の解放のために、ナチス高官の恋人になり、スウェーデンの諜報活動をする命懸けの行動、逆にナチスからも諜報活動を依頼され、ハンガリー人の恋人を疑い、幸せになれない人生。家族と共にスウェーデンへ移住したのだろうが、女優としてはナチスのスパイのレッテルを貼られ、大成しなかった。戦争が生んだ悲劇のヒロインだが、もう少し分かりやすく、濃淡ある演出があったら、もっと緊張感もって楽しめたかもしれない。
時代に翻弄された美しき女優ソニア
ナチスに侵攻されつつあった、当時の北欧の状況を知る事が出来、とても見応えが有りました。
父を救う為、母国の為、意に反してスパイ活動に従事した実在の女優ソニア・ヴィーゲット( 1913 - 1980 )をイングリッド・ボルゾ・ベルダルが熱演。
ナチス高官達を相手に諜報活動を続ける緊迫した場面、娘としての葛藤、恋人が居ながらナチスの高官との関係を続ける苦悩など、時に妖艶に、時に知的に、魅力的な女性を演じられていました。
予告編を観た時から気になっていた作品でしたが、クラシカルな色彩で映像も美しく、とても見応えが有りました。実話だという事に驚かされました。
映画館での鑑賞
女優だからこそ
スパイ映画って結構ハラハラするものなんだけど最近は立て続けにこういった作品が公開されて見慣れてしまったのかあまりハラハラする展開はなかったのが少し残念。
女性もののスパイは比較的恋愛描写とあわせて展開していく事が多いがこの作品もまさにそう。
その辺りに目新しさはないものの特別つまらない事もなく良い意味で安心して見る事はできる。
欠点はまぁ緊張感の薄さかな。実話を大切にという事で変に手を加えていないらしくそれは良い事だが映画作品としては少し物足りなさはあった。
終盤はソニアが果敢な行動を取るようになり、友達の写真家が殺されたあたりで盛り上がってくるかなぁと思いきやその後もあまりハラハラするような展開はなく、恋人が逃げるシーンもあっさりしていたのが残念。
この作品に限らずだがスパイというのは本当に過酷な仕事。一生懸命働けば働く程溝に嵌り、周囲からは更なるプレッシャーをかけられ時として脅されるわけだからね。
この作品でもあったように兄弟やら恋人やらが敵だったり裏切られるかもなんていう存在も日常茶飯事で自分だったらなんて妄想しながら見ると頭おかしくなりそうだ。
ソニアに関しては女優だからこそなにかその辺りの相手をそして自分をコントロールできプラスに働いたのであろう。
なかなか触れることのないノルウェー映画に触れられるという意味ではいい時間を過ごす事はできた。
【スウェーデンが、ナチスの占領を免れた理由とノルウェー女優、ソニアが身の危険を顧みず、二重スパイになった相関性を考える。】
-北欧四ヶ国の中でスウェーデンのみが、終戦まで中立を保てた理由は、現在でも確たる理由は明らかにはなっていない・・-
-だが、ソニアが二重スパイになった理由の背景は劇中、色々なシチュエーションで描かれる。-
■印象的なシーン
・拘束されていた元レジスタンスの父が解放されるシーン。彼女は車内で笑顔も見せず父の衰えた姿を哀しげな瞳で見つめる。
-父のためにスウェーデンのスパイ活動に協力し始めたが、徐々に深く関わってしまった(ドイツのスパイにもなっていた。)彼女は素直な気持ちでは、もう父に会えなかったのだろう・・。辛いだろう・・。-
・彼女が密かに、多数の死体写真を見つけ、見つめるシーン。
-私のやっている事は・・・-
・アンドルとの関係性が明らかになるシーン。
-恋人なのに、情報をリークしていた国が違い・・。あの海岸近くの小屋での彼女の行為は最後のアンドルへの思いなのであろう。-
〈北欧の小国、スウェーデンが選択したナチスの占領を避けるための生き残る道。一人のノルウェー出身の女優が、その選択肢に翻弄されつつ、父のため、愛する隣国、恋人のために身の危険を顧みず戦った実話ベースの物語。〉
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