「ええやん、別に。」あの頃。 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
ええやん、別に。
思ってたのとは違いノスタルジックな作品だった。
「人生」ってタイトルにしようかなぁとも思ったのだけど大袈裟かな、と。
出会いと別れを繰り返し死別する。
大まかに言えば、人の生涯はそんな風に進んでいき、出会うのは人であったり趣味であったり。別れるのは人であったりコミュニティであったり。
人それぞれに、そういったものがあり、彼らにはアイドルであり友達であった。
彼らの出会いと別れの内容が本作で…とかく上昇思考を推奨されがちな世の中で、その路線に乗らなくてもいいんじゃないの、と言われてるようだった。
時間は平等に過ぎていき、それを無駄遣いと断罪されようが、家もあるしメシも食えてる。
夢もあるけどガムシャラに追う事だけが正解でもないんじゃないの、と。
何より彼らには生涯かけて付き合うのであろう友がいる。自分の死に際し同情などではなく、変わらずウザい絡み方をしてくる友がいる。
死して尚、話しかけたいと思える友がいる。
それはそれで、充実してた生であったのではないだろうか?
生き急がなくて良いよ。
そんなメッセージを、ぼんやりと読み取る。
おそらくなら誰もこんな生き方を教えてはくれないだろう。既定路線からはみ出した生き方ではある。
「一寸の虫にも五分の魂」
No.1になるだけが人生の目的ではないと、ボソっと呟かれたような感じだった。
走馬灯ではないけれど、他人の人生をただただトレースしていく本作。刺激的なウネリを挿入する事こそ躊躇ってしまうだろうから、見応え的には薄い。
挙動不審の松坂氏も良かったのだけれど、仲野氏が抜群だったなぁ。役所に助けられた部分もあるけど素晴らしかった。そういう意味では、ライブハウスのオーナーは、大した起伏も起こらない中でしっかり人生を背負ってたようにも思える。好印象だった。
あの頃。
内容は違えど、自分なりの「あの頃」を思い出した2時間だった。あいつら元気にしてるかなぁー?