劇場公開日 2020年8月14日

「がむしゃらに自転車に挑む若者達」弱虫ペダル みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5がむしゃらに自転車に挑む若者達

2022年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

冒頭からラストまで、若さ、パワー、勢いに圧倒される爽快作だった。本作は、自転車競技に打ち込む高校生たちの姿を描いた作品である。テンポ良く物語は進んでいくが、ご都合主義的な所もあるし、フィクションでもそれはやり過ぎだろうと感じる所もある。そういうマイナス面をぶっ飛ばしてしまう程、強烈なエネルギーを本作は持っている。

本作の主人公は、千葉県の高校生・小野田坂道(永瀬廉)。アニメ好きの彼は、中学時代、毎週、秋葉原にママチャリで通っていたことで脚力が鍛えられていた。高校入学の時、急勾配の坂道をママチャリで軽々と登ったことで、同級生で自転車部入部希望の今泉俊介(伊藤健太郎)に誘われ、自転車部に入部することになる。自転車部で主人公は自転車競技の魅力を知り、努力を重ねて脚力を更に鍛え、インターハイ県予選メンバーに選出される・・・。

自転車部が舞台でありサイドストーリーは殆どないので、冒頭の登り坂シーンからラストまで、自転車走行シーンが非常に多い。平坦な直線路での疾走は爽快である。競り合いでの主人達の苦悶の表情には勝利への執念を感じる。カメラは近距離で主人公達を捉えるので、主人公達とともに自転車走行している仲間になった臨場感がある。特に、どんな時でも、がむしゃらに全身全霊を傾けてペダルを漕ぐ主人公の姿には、素直に、強く、感情移入できる。

和の主人公と個の今泉俊介が際立っている。主人公役の永瀬廉は、孤独で自信のない主人公が次第に成長していく姿を、生真面目で一生懸命な演技で表現している。主人公のライバルとなる今泉俊介役の伊藤健太郎は悩みを抱えた孤高の天才を抑制の効いた演技で好演している。

終盤の県予選。勝つために死力を尽くした攻防戦は、見応え十分である。チームのために、役割を全うしていく主人公の姿に、熱いものが込み上げてくる。

本作は、何かにがむしゃらに挑むこと、の大切さを教えてくれる秀作である。

みかずき
NOBUさんのコメント
2022年5月3日

今晩は。
 ”本作は、何かにがむしゃらに挑むことの大切さを教えてくれる秀作である。”仰る通りですね。
 私は原作と、映画は似て非なるモノであると思っており(最近で言えば「とんび」)あるレビューで、それを書いたら偉く(三河弁です。凄くという意味。)批判されましたね。
 私は、気候の良い週末の早朝、ロードバイクを矢作川沿いに海まで走らせていることもあり、本数は多くはありませんが自転車映画は好きなんですよね。
 登山をやっていた事が関係しているかもしれませんが、自転車って、ちょっとキツイケレド、三河湾に付いた時の爽快感は、何とも言えないですね。
 では、又。

NOBU