「沖田修一曼荼羅じゃないか」おらおらでひとりいぐも ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
沖田修一曼荼羅じゃないか
宣伝のようなのんきな映画のように見えもするし、とっても深くえぐってくるものでもある。
曼荼羅の意味はよくわかってないが、宇宙のはじまりと独居おばあさんの自問自答の脳内を春夏秋冬通じて絵本のように、コミカルかつ哲学的に描き出す。
心の話し相手がおばさんコスプレのおっさんたちというのが沖田修一監督流。突如として『南極料理人』の基地内の閉所でのドタバタ集団劇が見れ、黄昏色の照明が落ちると突如としてひとりぼっちのおばあさんが残る。その瞬間の寂しさがこの映画のキモ。
そしてエンドロールでこの役名が「寂しさ」と知る。
題材的にも『モリのいる場所』『滝を見にいく』を進化させ、そしてなんといっても中心に田中裕子と蒼井優がいる。田中裕子!である。すべては田中裕子である。この人の笑顔のバリエーションだけでもたくさんの物語が読みとれる。
確かに沖田版『ツリーオブライフ』『8 1/2』ではあるが、沖田監督の集大成にみえた。
コメントする