「実直さが生む奇跡」夜明けを信じて。 TOKIESさんの映画レビュー(感想・評価)
実直さが生む奇跡
一条悟が宗教家として立つまでの回顧録。母、友人、同僚、上司、寮母、ヒロインと様々な視点から主人公の生き様が描かれる。
恐らく主役は、無名で実績もない役者だろうが、直向きに、誠実に向き合った軌跡が見られ、映画全体の雰囲気を高めている。登場人物は多いが、全体的に丁寧なつくりで、安定感がある。
モノローグの多用とCG技術、映画のトーンと合わないインサートカットは気になるものの、多用されるフォークソングは時代性もあってか馴染んでいた。劇伴も幅の広さが見られる。
他の演者の演技も自然で、感情の機微も上手く描けている。ラストのヒロインの涙は、日本映画の中でも秀逸だろう。
宗教家になるという現象にフォーカスせず、主人公の内面や人柄を複数人の視点から描くことにより、胡散臭い宗教映画を回避している。こういう映画が布教されるなら理解者もふえるだろう。
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