「前作前々作よりお話がちゃんとしていた」ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 いるかさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5前作前々作よりお話がちゃんとしていた

2022年4月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

良い点
・脚本が前2作に比べて大分マシになっていた
・バトルシーンの魔法の応酬はそれなりに迫力がある
・マッツ・ミケルセンがとても良い

悪い点
・キャラクターの行動、話の展開で稚拙な部分が結構ある
・全体的に説明不足で、なぜそうなるのかわからない点が多い

私は前作、前々作を観た感想として、求心力を得難い別々の展開がちぐはぐに紡がれることで、キャラクターの言動が矛盾しているように見えてしまい、脚本が支離滅裂レベルに感じました。
「観ていてよくわからない」という感想をです。

その前2作に比べると、今作は脚本に矛盾のない構造になっていました。
キャラクターの言動に矛盾を感じることはありませんでしたし、脚本が酷い、と思うこともありませんでした。
この時点で前2作より格段に映画としてちゃんと観れるものにはなっていました。
これは新しく脚本チームに参加したスティーブ・クローブスさんの恩恵かもしれません。

ただし、キャラクターの言動が稚拙というか、もうちょっと考えろよ、と突っ込んでしまうポイントは結構ありました。
序盤のあるシーンなんかで、とある場所に行って指示を遂行する、という場面がありますが、その顛末に、「いやそうなるのわかってたよね?」という感想を抱き、失笑してしまいました。
そんな感じで、キャラクターの行動に、子供だましの作品じゃないんだからもうちょっと考えて動こうよ、と思う展開は多々あります。

また、全体的に説明不足であり、どうしてこのキャラが必要だったのか、どうしてその役割を果たせたのか、など説明がほぼないので、映画を観ただけでそれを察することは出来ません。

例えば、とあるキャラが渡されて使うことになるアイテムがありますが、その役割が観ているだけではわかり辛かったですし、そのキャラがそのアイテムを大事にする理由もよくわからないので、観ていて疑問に感じました。
これは、地の文や心理描写がきちんとなされていれば解決される問題なので、やっぱりJ・K・ローリングさんは脚本家じゃなくて小説家なんだと思います。

ジョニー・デップに代わってグリンデルバルドを演じているマッツ・ミケルセンはとても素晴らしかったです。
色気があり、人間味がないように見えて奥底には何か深いものがある、そんなキャラクターに見えたので、まさに望まれたキャスティングだと思いました。

総評すると、前作、前々作を観ている人、ハリーポッターシリーズファンの人なら、観て損はないと思います。
ただ、この映画のためだけに頑張って予習する必要があるか?と言われたら、観たかったらそうれば良いんじゃないかな、程度の温度感ではあります。
普通に面白かった、けどツッコミどころ結構あったし、人に勧める程じゃないかな……ぐらいの感想です。

いるか