「タイトルに縛られ過ぎている様な...。」ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 XIAN666さんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルに縛られ過ぎている様な...。
ファンタビは前2作ともハリポタの世界観と既存の設定を上手く広げて、その高いハードルも優に超える出来でした。
しかし今回は2作目で芽生えた不安が的中といった所でしょうか。
シナリオとタイトルとの乖離があからさまに悪影響を及ぼしてしまっていると感じざるを得ません。
魔法動物の話か、ダンブルドアとグリンデルバルドの話か、どちらなのかと。
そもそも1作目の時点からラスボスはグリンデルバルド。
ダンブルドアがハリポタの時よりも大きく前に出てくる事は避けられません。
そしてファンタビシリーズのシナリオライティングにおいて最も難関になるであろう点は、ダンブルドアとグリンデルバルドの結末がハリポタの時点ですでに決まっていて、しかも魔法界の歴史も含めある程度語られているということ。
これは難しい。
すでに散りばめられた点を上手く繋げて線にし、最終作にはあっと驚く絵を完成させなければならないわけですから。
これについては今作はシナリオを少し制御しきれなかった感があります。
ファンタビというタイトルから逸れない様にしようとし過ぎた、といった所ですかね。
しかしやはり全体としてはとても面白かったです。
魔法ワールドへの没入感を演出するためにマグルであるジェイコブをとても上手く使ってきますよね。
戦争や政治を絡めてきたのも良かったと思います。
マグル界との繋がりをより強調し、魔法界の世界観をより広く演出してくれました。
ハリポタで登場済みであるキャラクターのセリフ回しも最高!
仮に名前を呼ばれなくてもそうだと分かりそうなほど"らしい"セリフばかりでした!
そして今作の見どころはなんと言ってもマッツ・ミケルセンのグリンデルバルド。
てっきり見た目が変わったことを上手くシナリオに組み込んでくるのではと期待していたので、そうでなくて残念ではありましたが。
マッツがもう素晴らしい。
なにが素晴らしいって、ジョニデには無いものを持っているけど、有るものは持ってないんですよ!
どっちの方が良いとかじゃない。
どっちも最高に感じられるような配役です。
革命家としての面が強調された前作はジョニデでしか考えられませんが、ダンブルドアとの恋が強調される今作はマッツでしか考えられない。
とても素晴らしい配役、そして演技でした。
クリーデンスとクイニーの件がわりとあっさりと解決してしまったことが少し物足りなく、今後のストーリー展開への足掛かりを無くしてしまったようにもみえて少々なんとも言えない部分もありますが...。
見方を変えれば、今までの伏線などはほぼ全てリセットされたとも言える。
次作のシナリオがどうなるか全く想像出来なくなりましたから、次作はもっとカマしてくれることを期待しています!