「支配からの脱出」エルヴィス aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
支配からの脱出
エルビス・プレスリー。
1950年代のスターは、私の世代の2回り上。若い時は年上の人達に囲まれていたので、1回り上のビートルズ世代の音楽をよく聴いていたのだけど、そこに時折挟まるのが、さらに1回り上世代のプレスリーやチャック・ベリーだった。耳馴染みな音楽ではあるけれど、それほど思い入れはない。プレスリーに対して、そんな中途半端な認識の自分としては、彼の生涯を垣間見れた、伝記物として良かった。
人種差別など当たり前の時代に、黒人文化としてのゴスペルやR&Bからロックへの昇華を果たした功績は。確かに大きい。彼に政治的なイメージはなかったが、ベースには黒人文化へのリスペクトがあり、当時の体制と必死に闘っていたことがよくわかった。
トム・ハンクスが、プレスリーを食い物にする悪徳プロモーター役で、好演。良い人の代表のイメージは拭いきれないものの、後半はクソジジイぶりに嫌悪感を感じたので、キャスティングは大成功だった。
60年代、70年代のスターを題材にした映画では、ほぼ確実にドラッグと酒で落ちぶれるのだけど、本作ではそれは無いのが、異色に感じた。
歌唱シーンは少なめで、ファンには物足りないかもしれないが、「支配からの脱出」をテーマに、プレスリーという偉大なアーティストの生涯を綴った、良い作品だ。
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