劇場公開日 2022年7月1日

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「エルヴィスを見て感じたこと」エルヴィス コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5エルヴィスを見て感じたこと

2022年7月6日
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鑑賞方法:映画館

1  エルビスプレスリーの生涯と周囲の人々の関係を描いた伝記。

2 全編を通すと、プレスリーのおよそ20数年に渡るエンターテイナーとしての浮き沈みが整理されていたと思います。その中で、黒人音楽との出会いから徴兵までの前半が良かった。お馴染みの「ザッツオールライト」や「ハウンドドッグ」の元歌も聴けたのも良かった。彼が歌うときの独特の動きや服装はメンフィスで慣れ親しんだ黒人のシンガ-から学んだもの。南部で生まれそだった彼からすると自然なものであった。ローカルスターから全国的に紹介されると、若者には衝撃を与え、時代の寵児となったが、大多数の大人たちからは社会道徳や倫理観、人種隔離の根本規範を乱すものとして規制を受けた。 こうした中、徴兵に行くきっかけとなった慈善コンサートでのパフォーマンス。ファンの声が彼の心に規制に反発する炎を燃え上がらせ、彼はリミッターを振りきった。「トラブル」は今聴いてもゾクゾクしてきます。

3  後半では、失意の映画乱作時代を経て、歌手の再出発とステージ中心の活動が描かれた。その中では、大掛かりなステージに合うように「ザッツオールライト」をアレンジしていく様やステージの再現が垣間見えたこと、また、再出発後は、プロテストソングなども取り入れ、幅が出てきたことが描かれていたのは良かった。

4 終わり方については、ドキュメンタリーみたいになつてしまったのは残念。弱った状態でのステージ場面や死を悼むシーンはやっぱり寂しい。
なお、マネージャーの扱いは、ひとり語りのシーンは不要だし、簡素化しても良かったと思う。

5 プレスリー役の男優は、地の顔は映画グリースにでていた頃のジョン・トラボルタに似ているように思えた。それでも恥ずかしそうに笑ったときの口元の表情や俯き加減で不機嫌そうな顔付きはプレスリーのそれであった。そして歌唱は見事であった。

コショワイ