劇場公開日 2022年7月1日

「エルヴィスが時代をこじ開ける」エルヴィス bionさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0エルヴィスが時代をこじ開ける

2022年7月2日
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鑑賞方法:映画館

 トム・ハンクス演じるパーカー大佐のヴィランぶりが強烈。全世界を敵に回すのが確実な演技で、この毒を飲み込まないと、ラストまでたどり着けない。IMAXは朝一番しかないため、早起きして駆けつけたが、音楽的にも伝記的にも濃すぎる内容で、一日分のエネルギーを使った気がする。

 パーカー大佐は、エリヴィスが時代の寵児であることをいち早く見抜き、エルヴィスをスターダムに押し上げる。人気が出ると同時に黒人音楽にルーツを持つエルヴィスを当局は敵視するようになる。

 ここで、すごいシーンを見ることになる。

 大佐に言いくるめられたエルヴィスがトラディショナルなスタイルでライブ会場に登場。観客は、本来のエルヴィスのパフォーマンスを期待している。その一方で、R&B的な体の動きをしたら逮捕しようと警官隊が待ち構えている。
 そんな中、エルヴィスは大佐の指示を無視して、やってくれるんだよね、ロックンロールを。ライブ会場にいるファンと全く同じ気持ちになった。俺も警官隊をパージするためにステージに上がっちゃうよ。逮捕なんか怖くない。
 まさにエルヴィスが時代をこじ開ける瞬間。ここから始まるうねりは、誰も止めることはできない。
 ライブ会場の目と鼻の先で人種隔離政策の強化を訴えている国会議員は、前世紀の遺物で滑稽でしかない。

 エルヴィスの本人映像が、物語とシンクロして使われるんだけど、とんでもない感動に襲われる。音楽を愛し、ファンを愛するエルヴィスが、そこにいる。

bion
kazzさんのコメント
2022年7月28日

最後の実映像が、ものすごい効果でしたよね。涙が出ました。

kazz
NOBUさんのコメント
2022年7月2日

 今晩は。いつもありがとうございます。
 私は、エルビス・プレスリーの存在は知っていましたが、年代的に生の姿も曲も殆ど知りません。
 ですが、今作は何故か物凄く心に染み渡り、孤高のロックンローラーの生き様を描き、且つオースティン・バトラーのエルビスのデビュー時と壮年期の声色の使い分けに驚き、更に(内心吹き替えだと思っていた・・。)彼の歌声に痺れてしまった映画でした。
 勿論、トム・ハンクスの”この野郎、首締めたろか!”と思う程の演技と彼によるナレーションも見事な作品だと、私は思いました。
 レビュアーの中では、評点が低い方もいらっしゃいますが、リアルでエルビス・プレスリーを聞いた方には、物足りなかったのでしょうか・・。では。あ、返信不要ですよ。

NOBU