劇場公開日 2022年7月1日

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「彼には観客(ファン)の愛が必要だ!ということが痛いほど伝わる作品…」エルヴィス とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0彼には観客(ファン)の愛が必要だ!ということが痛いほど伝わる作品…

2022年7月1日
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Elvis has left the building.
熱狂の渦に呑まれる --- 人種差別と公民権運動の高まりマーティン・ルーサー・キング・ジュニアが、ロバート・ケネディが、シャロン・テートが次々と殺された激動の時代の渦中で、奇しくも中心人物となっていくオースティン・バトラーの憑依したような熱演が魅せる!ロック伝記の王道パターンをなぞりながらも超えてくる!! バズ・ラーマン監督の彼らしいケレン味やバキバキに作り込まれたきらびやかな世界、現代らしくないキラキラ感とエルヴィスのそれがよくマッチしていて、ショーマンシップやイメージをよく表していたと思う。後で足したような過剰なカメラ揺れや動きもあって、作品にしっかりと"クセ"があった。劇中で初めて女性客が熱狂する瞬間の演出も完璧、よく合っていた。ただ、『監獄ロック』など名曲の歌われた映画たちをスルーしてサラッと既出の曲として出てくるという英断に本作の製作においての取捨選択を感じた。あくまでステージ上の歌手とそこから降りた人生にスポットを当てる。
この作品を"愛さずにはいられない" ---《愛》ステージ中毒とファンの愛。本作によってオースティン・バトラーの名を世界中が知ることとなるだろう。ビートルズやディランが影響を公言したような、今尚最も売れたソロアーティストである"エルヴィス"という現象を体現する。色気ダダ漏れ腰クネクネ高速ステップも流石。その過程/道中、彼にとっての音楽的原体験を象徴する人物であるマヘリア・ジャクソンも亡くなった…。ただ、本作以前から"大佐"スノーマンの存在は知っていたから、いい作品だったけどツラすぎて二度と見たくない『ラブ&マーシー』のポール・ジアマッティのように搾取するさまを見るのが怖かった。しかもそれが世界で一番愛されている役者と言っても過言ではない"いい人"なイメージしかないトム・ハンクスが演じるという。世界ツアー回らせずに、ラスベガスのホテルインターナショナルに軟禁して、ディナーショーみたいなところでライブさせまくってたのヤバすぎ。例えば『ボヘミアン・ラプソディ』などとは違って、存命のときにはあの寄生虫野郎とは決別できなかったか…ただ、最後のアンチェインド・メロディーはヤバすぎて鳥肌立った。。エルヴィスは出ていきました。

P.S. 大々的にピンクな服はキツいかもしれないけど久しぶりに小物や靴下なんかでピンク色のものを纏いたくなった。あと、バズ・ラーマン作品で一番好きな『ムーラン・ルージュ』の人がエルヴィスの父親役だった。
試写会当たったのに仕事で行けなかったの残念

Snowman strikes back again!

とぽとぽ