「承認欲求の代償と隷属」エルヴィス NAKATANIさんの映画レビュー(感想・評価)
承認欲求の代償と隷属
面白かった。
悪く言えばボヘミアンラプソディの二番煎じ、良く言えば全て描き切ったボヘミアンラプソディ。
この物語は奴隷のように使われる労働者は、案外その立場に理解と納得してしまっているというジレンマをテーマにしていると思うのだが、おそらく監督が推したいのは承認欲求だろう。
初めは母親にピンクのキャデラックをプレゼントをしたいという夢を持つ好青年がスターになった時何を望んでいくのか。
栄光と挫折の連続。
映画化する上ではうってつけの人生を歩んできたエルヴィスだが、映画の題材上どうしても比較されてしまうクイーンと違う点、
というよりどうしても劣ってしまう点は、ロックスターの原点が故、時代が遡りすぎるが故、現代人が誰でも知っている曲というものが少ないところにある。
この手の映画はどれだけ主人公が作った曲を知っているかが楽しむために重要になる。
気づかぬ間に知っていたという曲が目の前のスクリーンに映し出されるキャラクターをよりスターたらしめるからだ。
そのアドバンテージがあまりにもあるクイーンをあのような完璧な脚本で見せつけたのだから、比較されてしまえばどうということもない映画なのだが、
より人間らしく、栄光から没落までを主観と客観を織り交ぜながら描いたこの作品にも意義は大いにある。
何よりの理由はエルヴィスという人間をこの映画で知れたからである。
個人的な満足度は5200円ほど。
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