劇場公開日 2022年3月11日

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「遅ればせながら、動画配信で鑑賞」THE BATMAN ザ・バットマン 悶さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5遅ればせながら、動画配信で鑑賞

2022年7月15日
PCから投稿

【鑑賞のきっかけ】
劇場鑑賞は逃したけれど、動画配信も始まり、いよいよ初鑑賞を成し遂げました。

【率直な感想】
<「THE」という本気度>
じつは、これまでのバットマン映画、バットマンの前に「THE」は付いていませんでした。
クリストファー・ノーラン監督のダークナイト3部作には、「THE」は付いていたけれど、それは、「ダークナイト」の前に付いていたのであって、「バットマン」の前ではなかったです。
「THE」というのは、日本人が思っている以上に、ネイティブの人たちには、深い意味があるようです。
日本語的に言えば、「これぞ!○○」みたいな感じでしょうか。
英語で、「THE Book of Books」と言えば、「聖書」。これぞ、数ある本の中の本だ、というニュアンスを感じます。
「バットマン」の前に「THE」を付けているので、これまでのバットマン映画の集大成かつ決定版の意味合いがあるのかもしれません。

<原点回帰の物語>
今回の作品の敵役は、リドラーで、犯行現場に、「なぞなぞ(riddle)」を残す。
これに解答を見つけ出す形で、バットマンがリドラーの正体に迫っていきます。
本作品では、バットマンが警察の協力者であり、警察と手を携えて行動する「探偵物語」。
バットマンが1930年代に「探偵コミックス」でデビューした時、ブルース・ウェイン(バットマン)が警察の捜査の手助けをして、事件を解決するという物語でした。
ティム・バートンやクリストファー・ノーランのバットマン映画でも警察との協力関係は描かれていますが、あまり強調されていなかったように思います。
今回は、「探偵物語」という点を重要視して、原点回帰した新シリーズを構築しようとしているのではないか、と思いました。

<暗い物語展開と、暗い画面構成>
まず、「暗い物語展開」ですが。
これは、バットマン映画には欠かせないもの。
なぜなら、ブルース・ウェインは、幼い頃、両親を暴漢に殺されたという過去があります。
本作品の中でも、さかんに「復讐」という言葉が出てきますが、ブルースがバットマンになったのは、そうした「犯罪者」対する復讐の念がどこかにある。
だから、彼は、別名「闇のヒーロー(ダークナイト)」なのです。

そして、「暗い画面構成」。
これは、数ヶ月前、NHKの某人気番組で知ったのですが、映画の撮影技法の中に、「黒の濃淡の演出」があるそうです。
「黒」といっても、一色ではなく、そこには濃淡があり、そこをきめ細かく表現できるというのが映画の技法のひとつと言われているそうです。
確かに、これまで映画館で観て優れた作品だったので、後日、テレビで再鑑賞してみると、画面が暗くて、興ざめという経験がありました。
それは、映画館は、場内を真っ暗にしているのに対し、テレビは室内を明るくしている状態で鑑賞するので、テレビ画面に室内の様子が映ってしまい、黒の濃淡が分かりにくくなるということ。
そこで、今回は、室内の明かりを消して、暗い室内で鑑賞してみることにしました。
こうすることで、例えば、バットマンのコスチュームも黒の濃淡が隠されていることに気づきました。
バットマンは、胸の辺りに、コウモリの形のデザインがありますが、黒いスーツの上に、黒いコウモリ。
物語後半で、このコウモリ部分の仕掛けが出てきて、観客ははっきりと認識できると思いますが、黒の濃淡を意識していると、物語前半でも、それがはっきりと分かります。

【全体評価】
3時間という長さ。
これを長いと感じるかどうかが、評価の分かれ目のような気がします。
私は、「探偵」であり「心の闇」を抱えたバットマンの姿に共感できたので、長さを感じない良作になっていた、と感じています。

悶
琥珀糖さんのコメント
2022年8月17日

本当にアメコミにお詳しいですね。
「スパイダーマン・ノー・ウェイ・ホーム」のレビューも
感嘆です。
私は片端から忘れてしまいます。
アメコミは、
私は観ることは観ますが、苦手分野です。
でもこの映画はとても楽しめました。

琥珀糖