「とことん拘ったリアル感!カッコ悪さがカッコいい!!」THE BATMAN ザ・バットマン バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
とことん拘ったリアル感!カッコ悪さがカッコいい!!
完全にDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)からは分離、他のDCヒーローやメタヒューマンの存在を排除したことで、かえって固定されたヒーロー像から離れることができたのだろう、フランク・ミラーの描く自警的バットマンのようでもあり、ノワール的な要素を強調している。クリストファー・ノーラン版もフランク・ミラーテイストを大切にしていたが、より強調したものとなっている。
ゾディアック事件が下敷きとなっているからか、雰囲気としては、明らかにデヴィッド・フィンチャーの香りが漂う。バットマンとゴードンのバディは、『セブン』に通じるものもある。
バットマンとゴードンとの信頼関係がすでに構築されており、その間には2年という期間が経ていることも明らかとなった。すでにHBO Maxでの配信が決定している、ゴードンのスピンオフは、そこに焦点が当てられるのかもしれない。バットマン誕生秘話を今更描くこともないと開きおなっているし、もしやるにしてもHBO Maxが付いているというバックサポートがしっかりした安定感からか、様々な奥行きを感じさせるキャラクター構築は、観ていて飽きない。
今回徹底しているのが、リアル感だ。いくらお金持ちだかりといって、作り出せるものには限界がある。アイアンマンや過去のバットマン、ノーラン版バットマンにいたってもそうだ。
マスクは手作り感が漂い、飛び方も非常にカッコ悪い。それでいて着地も失敗する。体はアザだらけだ。ノーラン版では、アニメとして制作された中間エピソード『バットマン ゴッサムナイト』で、悟りのようなものでダメージを軽減しているような設定が語られていたが、今回は普通に痛々しい。
何よりティム・バートン版のバットモービルは、デザイナーのテリー・オークランド・スノーを起用して作り上げたスタイリッシュなものだったが、今回のバットモービルは過去作と比べて、かなり歪だ。魔改造された、ただのボロ車にも見える。
しかし、それが良いのだ。ゾーイ・クラヴィッツ演じるキャットウーマンなんて女ねずみ小僧だが、それこそがリアルなのだ。カッコ悪さの中にあるカッコ良さを極限まで引き出した成功例だ。
ブルース・ウェインが日中にあまり行動しないことから、肌が白く、顔色も悪く、体調が悪そうだ。
日陰がさしたときに目を背ける表情……ここで気づいたのは、「トワイライト」のエドワードを観て、ロバート・パティンソンが選ばれたのだろうということだった。