「バットマンという青年の成長ドラマ」THE BATMAN ザ・バットマン クソチキンゴミ眼鏡さんの映画レビュー(感想・評価)
バットマンという青年の成長ドラマ
この映画はかなり好みが分かれると思う。
とにかく作品全体が暗い!ブルースも画面も作風も、とにかく暗い!ついでに重い!
全体的にブルースの暗い内面に合わせて作品を作っており、ダイナミックなストーリー展開も無いので、その雰囲気が陰気臭く感じる人は地獄の3時間になるでしょう。私は重苦しい作風は好みだったので、没頭できた3時間でした。
ストーリーも当然のごとくブルースを中心。レギュラーキャラのアルフレッドやゴードンは当然、悪役すらもあまり存在感は無かった
それでも高評価をつけた理由は、ブルースという1人の人間の成長物語として見ると、非常に楽しめたから。
これまでのブルースは大企業の社長という面の顔を併せ持っていたが、今作は社長業そっちのけでバットマンにほぼ専念。その姿は「俺にはもうこれしかない」と、活動することで自分の存在意義をなんとか見出している若者でしかない。
バットマンの活動に見え隠れする「若さゆえの苦悩と暴走」は非常に人間味を感じたし、ストーリーの最後でバットマンの活動に本当の意味を見出せたところでは感動すら覚えた。
シーンの見せ方も、固定カメラを多用してカーチェイスの緊迫感を上手く感じさせたり、絵画のように印象的かつ象徴的なシーンを要所で盛り込むなど、リーヴス監督なりの工夫が感じられたのも良かった。
ノーラン3部作は壮大かつ重厚なストーリーと魅力的な悪役の存在があったので、それと比較するとどうしても地味な映画には感じられてしまう。
それでも、あの完成された物語の後に違う切り口で新しいバットマンを描いたのは凄いチャレンジだと思うし、この1作目から続く次回作は十分期待できるものになると思う。
否定的な声もそれなりに出るとは思うが、個人的には十分楽しめた作品だった。
あと、最後の洪水は公開日が3.11だったこともあり批判的な意見が散見されたけど、そもそも日本の作品ではないし、映画の内容の批判として列挙するのは違うのではないか。