劇場公開日 2022年3月11日

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「いいのは雰囲気、長ければいいってもんじゃない」THE BATMAN ザ・バットマン 774さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0いいのは雰囲気、長ければいいってもんじゃない

2022年3月11日
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「ジョーカーの衝撃は序章にすぎなかった」
予告の煽り文句はホアキン版『ジョーカー』のこと? だとしたら全くもってセンスがない。そもそも別世界だし……最近の予告は質が落ちたなあと思うばかり。

バットマンとは、ブルース・ウェイン。
ピーター・パーカーがスパイダーマンというように、すでに多くの観客が知ってしまっている。
ティム・バートン版、ノーラン版、ホアキンジョーカー。すでに多くの傑作『バットマン』が存在する。
その上で今回の新シリーズ。2年目のヒーローとして、どういうストーリーになるのか。すべての嘘が暴かれる……

はっきり言って、それほどの衝撃はない。どこか燃えきらずに残ってしまったような映画だった。

知能犯リドラー。知能犯というが、ジョーカーの二番煎じでしかない印象だ。言うだけ野暮ではあるが、無意識に『ダークナイト』や『ジョーカー』と比べてしまう。そうなると、知能犯リドラーはどうしてもしょうもない敵にしか感じられなくなる。
やっているのは奇妙な謎々を残すだけ。殺しの手口は残酷だが、そこに至るまでの過程が都合よすぎる(ジョーカーの方がいろいろうまくやってたような)。
殺される側は不用心しすぎて、頭が悪いとしかいいようがない。そんなに恐怖を感じているなら、もっと用心するのでは? いろいろザルすぎやしないか?
知能犯というかただのサイコパスなのでは。

そして、世界の嘘、つまり「ゴッサムの嘘」はリドラーが暴くまでもない真相。でしょうね、っていう黒幕。むしろ、ゴードンやブルースはどうして気づかない? というくらい、悪いことしてる奴らがそこまで悪事を隠蔽していない。証拠も残しすぎだ。

ブルースはというと……表向きには何してるの? 引きこもり? その辺りがよくわからない。
SNSだってあるし、バットマンだとバレてしまいそうな……
ビジュアルは良いのだが……
キャットウーマンは足技が素敵。

というわけで、バットマンがたんたんとリドラー確保へのミッションをこなしていくだけのおよそ3時間。ミステリーテイストを強めるには、少々お粗末だ。
この程度の内容なら、配信ドラマにして更なる深掘りをしていった方がよかったのでは、と思わずにいられなかった。

一言でいえば「いろんなものが現代風になっただけ」の映画。

……気がつけば不満を並べてしまったが、楽しいことは確かで、3時間退屈することはない。
ロバートバットマンのビジュアルはとても良く、ほぼマスク被ってるところもいい。
音楽と全体的に暗い雰囲気によくマッチしていると思う。
観る価値は大いにある。
ただ、過度な期待は禁物。

余談だが、公開日はずらすべきだったのではないか。
ワンシーンだけ切り取るのはよくないが、3.11に公開するにはクレームきそうなシーンが。私は特に文句はないが。
作品内容に関係ないところでのクレームというかなんというか、面倒事が起こりそうなことくらい想像できそうなものだが。翌週公開の方が無難な気がした。
早く観れてよかったが。

とにかく、劇場Tシャツ買うくらいには楽しんだ。次回作に期待せずに期待する。

(文・なんだかんだ『バットマン』は100%面白い)

774