劇場公開日 2021年12月17日

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「メタバースの挑戦」マトリックス レザレクションズ aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5メタバースの挑戦

2021年12月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

20年という時間は、見る側を変える。例えば、スマホの登場と急な普及は、たいてい昔のSF映画を古臭くしてしまうが、そんな時間のもたらす変化を嘲笑うような内容だ。

時代はようやく「メタバース」などという新しめの用語に置き代わって、仮想空間が日常に入りこもうと何度目かの挑戦をしているが、20年前の1作目の世界観の入り口にもたどり着けていない。ギブスンの「ニュー・ロマンサー」が35年前で、そこからスタートとしても、仮想空間については大した進歩が無かったわけだ。(そういえば、セカンドライフはどこにいったのだろう?)

それだけ「マトリクス」の世界観は、土台がしっかりしているということだろう。「2001年宇宙の旅」と同様、後の映画に影響を与えながらも、原点を越えることのない特異点的な作品だ。そこから派生作品は多数作られて、いくらオリジナル性を主張しても、「マトリクスみたいな」という冠を付けられてしまう位置付けだ。

その本家が、マトリクスを新たに作るのだから、どう続くのか、いや、どう続けるのかは気になる。
結果としては、見事な「マトリクス2.0」を仕上げたと思う。単純な続編ではなく、前作を丸ごと呑み込んで、その強固な土台の上に、新たな増築が完了した。ソフトウェア的に言えば、コアエンジンはそのままに、大きくUIを変えた、バージョンアップされた2.0だ。語感としてはバージョンアップではなく、オーバーライドというのがしっくりくるけれど。サブタイトルのresurrectionsは、復活という翻訳になるのだろうけど、皮膚の傷にかさぶたができて再生するというようなニュアンスで捉えると、ピッタリ来る感じだ。

前作のオマージュというか、そっくりそのままなぞるくだりは、なかなかのチャレンジだったろう。それ自体が、観客にデジャヴを体験させて、黒猫に非常に重要な(笑)意味を持たせる構成はお見事だ。

時間の流れがひとつだけ逆らえなかったものが、キアヌとモスのコンビの年齢か。いずれは彼らの若い頃のアバターが、新作を作る事になるだろうが、もう少し時間がかかりそうだ。

まだまだこの世界への”ジャックイン”が浅いが、今後の展開に期待して、もう少し"ダイブ"して楽しむ事にしよう。

AMaclean