「大きくてお人好しの猫と狡猾なネズミ、逆転の発想が最大の魅力」トムとジェリー 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
大きくてお人好しの猫と狡猾なネズミ、逆転の発想が最大の魅力
言うまでもなく「トムとジェリー」の歴史は古い。アニメと言えばディズニーか「ポパイ」や「スーパーマン」で知られるフライシャー・スタジオしかなかった1930年代のハリウッドで、MGMのアニメーターだったウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラが生みの親である。以来、実に90年に渡って、世界中の子供たちに愛されてきた理由は、たった一つ、図体もでかいし本当は強いはずの猫のトムが、若干お人好しだったばかりに、体はちっちゃいがけっこう狡猾なネズミのジェリーに、コテンパンにやっつけられること。つまり、逆転の発想が最大の魅力なのだ。実写とアニメを融合した最新作でも、ニューヨークのホテルを舞台に人間たちの結婚式の顛末が描かれるが、場を盛り上げるのはいつも、ところ構わずバトルを展開するトムとジェリーのボケとツッコミ。古いTVアニメと見比べるとビジュアルがかなりアップデートされているのが分かるが、2匹のキャラクターは昔も今も変わらず。単純だがオリジナリティに溢れる永遠のヒット作を、筆者も童心に返って堪能させてもらいました。
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