劇場公開日 2022年2月23日

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「ただのスポコン映画ではない!父と家族が本音でぶつかり合うヒューマンドラマでもあった」ドリームプラン スクラさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ただのスポコン映画ではない!父と家族が本音でぶつかり合うヒューマンドラマでもあった

2022年3月16日
PCから投稿

アカデミー賞受賞確実と言われるのも誇張ではない。
父が考えた娘たちをプロテニスプレイヤーにするドリームプランには、
娘たちを貧困の連鎖や理不尽な社会に飲み込ませないための想いが詰まっていた。
ちょっとした描写から鮮明に映し出される身近に潜む闇。
その闇から絶対に娘たちを守ろうと頑固なまでに信念を貫く父親を演じるウィル・スミスの演技力がとてつもない。アクション映画もこなせて、映像技術に頼らないヒューマンドラマでも秀逸な場面を作りあげるウィル。俳優としての彼の真髄を見せられた。
ウィル・スミスの迫真な演技に全く引けを取らない母親役アーンジャニュー・エリスが最高にクールだった。母強しとはまさにこのことと言わざるを得ない彼女の演技がウィルの演技との相乗効果で
作り物に思えない家族の本音のぶつかり合いが生まれていた。

熱いスポーツものかな?と思って観たら大間違い。
スポコン魂もあるけど、それ以上に困難な目標に立ち向かう上では
避けられない家族との衝突の描かれ方に心打たれた。

生まれた場所によって人生が左右されかねない描写は、
最近観た『リル・バック ストリートから世界へ』に通ずるものがあった。
この映画もその場所に生まれたら踊るか犯罪に手を染めるかの2択しかないと言わしめる環境でダンサーになったリル・バックの物語を描いたもの。
本作はテニスプレイヤーであるビーナス&セレーナ・ウィリアムズ姉妹が
プロになるまでの家族との物語に目頭が熱くなると同時に
環境と犯罪の関係性まで考えさせれらた。

スクラ