「ひねくれた映画評論ですが」ドリームプラン でゑさんの映画レビュー(感想・評価)
ひねくれた映画評論ですが
自分は投資家としてこの映画を見たのだけど
投資のやり方としてはあまり賢いやり方ではないと思う。
父親が2人の娘の才能を見出しゲットーから出るための手段として
彼女達にかけると言うのが大まかな話の筋。
投資のやり方としてあまり賢く無いと言ったのは
家族のリソースの全てを2人に全部かけているわけで
これは投資のやり方としては失敗した時のリスクを考えると
あまり褒められたものではない。
ただ一方でそれだけリソースを一点集中でかけるのは
当たった時の爆発力は凄い。
今回の映画の裏テーマは「信仰心」にあると思う。
これだけ危険な一点集中投資に娘達は父親を信頼して
父親の言いつけを守る。
かなりギャンブル的な展開もあるのだが
娘のセリーナとビーナスがなんとかブレずに勝ちつつける事が出来たのは
家族全体に染み渡る「エホバの証人」の教義にあると思われる。
彼らは「キリスト教原理主義者」らしく
家父長制を厳守しており父親の言う事は
絶対的な強さを持つ。
妻は基本的に旦那の言う事に貞淑に従うだけだが
時になり2人になった時など
噛みついたりもするところが印象的であった。
また娘達にとって父親は絶対的な存在なので
父親の言う事は信頼しきっているところが
とても印象的だった。
つまり彼らが危険な賭けを成功したのは
この家族一丸となった強さであり
絶対的な信頼感でつながっているように感じた。
特にビーナスがインタビューに答えるところは
父親の言う事を絶対的に信用すると言う静かな確信と強さが表現出来ていたように思う。
ぶっちゃけ彼らのやっているところは聖書の「箴言」を頑なに守っているのだけど
それが結局彼らの絆になっているのだなと言う気がした。
まあ彼らがゲットーから出る為にはこれしか無かったと思う。
まあハラハラしたけど上手くいって良かったと言う気持ちである。
あと最後に一つだけ言っておきたいのは
ゲットー出身の少女2人がテニス界の頂点を目指せたのは
結局父親の「勘」なのだ。
ゲットーで練習していた頃いくらテニスが上手くても
それご世界最高峰のテニスプレイヤーになるなんて
誰も考えなかったろう。
つまり時として専門家の常識や経験をアマチュアの勘がしばしば凌駕すると言う事なのだ。
自分も違ったところで同じ事を考えていたので
やはりなと思わずにはいられなかった。
よほど父親に強い何かがあったと言う事なのだろう。
単なるスポ根映画として見てしまうとこの映画は大分取りこぼすところが多いと思う。
色んな意味で考えさせられるところがあった。