劇場公開日 2022年2月23日

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「天才を育てた夫婦の子育て論」ドリームプラン @花/王様のねこさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0天才を育てた夫婦の子育て論

2022年2月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

自分がどんな子育てをしたいのか、才能を伸ばすために親ができる最大限の可能性の広げ方とは何かを描いた作品。

ウイルソン夫妻の子どもに向き合う姿勢はとても勉強になる。

自信とは努力の積み重ねと、その過程を肯定していく両親の関わりによって育まれる。

どんなに才能があろうとも、他者への尊敬や礼儀を忘れず、謙虚に生きなければいけない。

自信と自慢は全く別のものだと話すシーンが印象的だった。

「言うだけなら簡単なんだよな」

しかし、物語が進むにつれてウイルソン夫妻はこの理念を基礎に子どもへ接していくのが分かる。

子どもを子どもとして扱う大切さ。
物事の分別、正しいものを選択する方法をキチンと教えている。
無料の物には裏があるから手を出すな。
勉強や知識は視野を広げる武器になることを教えていく。

そして何より、子どもの失敗を嘲笑したり、悲観的に捉えたりしない。
失敗は成功のもとだ。そこから何を学んだかを考えて、自分の糧にすれば良い。
一緒に考えていこう。と味方でいることは子どもにとって大きな心の拠り所となっている。
信じてくれる両親がいるから、自分の可能性を信じることができる。
誰かと比べられても、自分は自分にしかない魅力があると自信をもって言える。

物語後半では子どもから一人の大人として関わり方が変化している。

大企業からのオファーが来ても、親が決めるのではなく、子どもの判断に任せる。口出しはしない。
親が行うのは子どもの決断を他の大人に納得させることだ。
大金を積まれても子どもの意思を尊重することが、子どもへの信頼関係にも繋がっている。

作中、一番好きなシーンは

夫妻がキッチンで話し合いをする場面だった。

生まれや育ちに劣等感を覚えるリチャードに対し、オラシーンが貴方を侮ったり見下したことはないと話す。

私を侮らないでと伝える姿に、聡明な女性の美しさを感じざるを得ない。

同じ方向を向いて子育てをしているか。
家族でチームになってお互いを尊重しながら過ごせているか。
思いは言葉にして相手に伝わっているか。

方向性の擦り合わせがキチンとできているからこそ、子どもたちは両親の指示に迷わない。

子どもの成長や夫婦の価値観の変化があっても、方向を示すリチャードと家族のメンタルを支えていくオラシーンの柔軟性や子育て観は深く刺さるものがあった。

アカデミー賞作品賞にもノミネートされている今作。
スポーツもので、感動物でしょと正直舐めていたが、なるほど作品賞に選ばれるだけの見応えのある良作だった。

是非、劇場でご覧下さい。

@花/王様のねこ