劇場公開日 2022年2月23日

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「目標達成の為にブレない信念で戦うお父さん」ドリームプラン カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5目標達成の為にブレない信念で戦うお父さん

2022年2月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

この映画の主人公は米国ではウイリアムズ姉妹の父親としてかなり有名な人物であろうと思うが、テニスはあまり見ないので全く知らなかった。

自身で競技経験がなかったり、多少かじった程度の父親が独学で子供を指導し、世界チャンピオンに育て上げるという話は日本ではボクシングやスノーボードなどで例を見る事ができるが、個人的には父親が指導しなくても同じ結果であっただろうと思っている。
理由は当人達の才能が結果に一番大きく影響する要素であり、また指導者を心底信頼しやり切る事ができるか否かが10代の競技者が成果を出せる大きなポイントだと考えるからである。

映画を観るまではそれらの父親達と同じタイプかなと思っていたが、この父親の違うところはまず1人の社会人として子供達にしっかりと勉強することを課している点である。
根底には自身の差別や貧困の経験があるからなのだが、指導者である前に親としての責任を全うしようとしているところが良いと思った。
次に家族全員が父親を中心に皆仲が良いという点である。
父親がブレない信念を持って自分達の為に必死に戦ってくれていることを皆が理解しているためで、それだけでも子供達の優秀さと母親の賢さがビシビシと伝わってくる。
さらに世界レベルで活躍する多くの選手が白人という競技へ何の躊躇もなく入って行けるメンタルの強さである。(もちろん女子アスリートではテニスプレーヤーが収入ランキングのトップである事が1番のモチベーションだったとは思うが)
この姉妹の活躍が大坂なおみ始め白人以外の選手達に門戸を大きく広げるキッカケになった事からその功績は非常に大きいと思った。

一方でものの言い方、厚かましさ、奥さんや他人に対する信頼やリスペクトの欠如、契約履行への意識が希薄である事などから周囲の反感を買うのだが、最終的には子供達の圧倒的な実力により結果オーライとなり、アンチ派の溜飲を下げる事になる。

どこまでが真実でどこまでが脚色なのかはわからないが、最後に流れた実際の映像を見るとミニバンや着ているものから全体の雰囲気など大筋は相当寄せており、結果は分かってはいるものの半ドキュメンタリー映画として非常に面白く観ることができた。

カツベン二郎