「【テニスと共に、教育の大切さ、忍耐・謙虚さをビーナス&セリーナ姉妹に教え込んだW・スミス演じる父リチャードと、特に妻オラシーンの毅然とした姿が印象的な作品。家族の絆の大切さを描いた作品でもある。】」ドリームプラン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【テニスと共に、教育の大切さ、忍耐・謙虚さをビーナス&セリーナ姉妹に教え込んだW・スミス演じる父リチャードと、特に妻オラシーンの毅然とした姿が印象的な作品。家族の絆の大切さを描いた作品でもある。】
ー ビーナス&セリーナを含め、5姉妹を育て上げたリチャード(ウィル・スミス)の教育方針は可なり独特であるが、妻オラシーン(アーンジャニュー・エリス)が、時に彼を支え、時に彼の方針に対し激しく反発する姿が印象的である。
世間では、ビーナス&セリーナを指導したリチャードをこの映画の原題である”キング・リチャード”として当時賞賛したが、ビーナス&セリーナ姉妹を長きに亘るテニスの世界チャンピオンに育てた影の立役者は、妻オラシーンである、と今作を観て私は思った・・。-
◆感想 ー印象的なシーンは数々あれどー
・ロサンゼルス・コンプトンと言う、決して治安のよくない地域で、リチャードが、娘達にテニスを教えている際に現れる、黒人のチンピラたち。
リチャードは、まず娘達をボロッチィ、バンの中に乗車させた後、リーダー格の男に”長女に絡むな!”と詰め寄る。そして、殴る蹴るの暴行を受ける。
父の姿を車内から心配そうに見ている娘達。
- リチャードの可なり強引な教育方法の理由が分かるシーンである。
彼は、自ら語ったように幼き頃からKKK(愚かしき白人至上主義団体)や、黒人蔑視の警察を観ながら育って来ており、娘達を社会に馴染めず非行に走る黒人の若者にしたくなかった事が、このシーンでは描かれている。
又、今作では頻繁に黒人蔑視の当時(現代でも・・)の社会風潮が描かれている。-
・昼間は娘達のコーチ、夜は自らの小さな警備会社で働くリチャードの姿。オラシーンも昼に働きながら、娘達のテニスの指導をする。
- 子供たちが、厳しくも時にユーモアある両親を愛する理由が良く分かるし、ウィル・スミスの厳しさと頑固さと、ユーモラスさを併せ持つリチャードを絶妙に演じる姿も印象的である。-
・そして、リチャードが、ピート・サンプラスのコーチだったコーエンに強引に、ビーナスとセリーナのプレーを見せ、コーチになって貰うシーン。
- ピート・サンプラスや、マッケンローなど名プレイヤーの名前が懐かしく、コーエンがビーナスとセリーナのプレーを見てコーチを引き受けるシーンもウィル・スミスの、強引だがユーモラスを湛えた演技で、何故か納得してしまう。-
・リチャードが、ビーナスとセリーナのプロ契約を拒否し、コーエンと袂を分かつシーン。
- 世間で頻繁に見られる”天才児登場!”と煽てられ、プレッシャーに負けて自滅していく多くのスポーツ選手・・。今作では、カプリアティがその象徴として描かれている。(ちなみに彼女は”燃えつき症候群”を、この後見事に克服している。)
リチャードは、”ビーナスとセリーナを一流のテニスプレイヤーとしてだけではなく、立派な大人に育てようと思っていたのだろう、燃え尽き症候群にならないような強きメンタルを持った人間に・・”と私は解釈した。
ビーナスが、成長途中から”歯列矯正器具”を装着している事も印象的である。-
・リチャードが、次に当時名コーチとして頭角を現し、フロリダにテニスアカデミーを開設したリック・メイシー(ジョン・バーンサル)に白羽の矢を立てるシーンも印象的である。
彼は、リック・メイシーに、大学に入学した長女意外をフロリダに住まわせ、自らもテニスアカデミーに雇用させる。しかも、対等の立場の様に振舞いながら。
ー ”キング・リチャード”炸裂シーンである。キャンピングカーまで・・。だが、ビーナスとセリーナの実力を見抜いた、リック・メイシーはその申し出を全て受け入れるのである。
又、彼のギャランティーの取り方も独特であり、リチャードはそれを評価したのであろう。-
・だが、その後も娘達のプロ契約を認めないリチャード。
- ブレない姿勢だが、妻や娘達からは全て一人で決めてしまう姿勢を批判されるリチャード。だが、ここで彼は自らが幼年時に経験した屈辱的な出来事をビーナスに涙ながらに語るのである。”俺は、自分の子供の前からコソコソ逃げる親にはならない・・。”
娘達の”燃えつき症候群”を心配しながら、ディズニーのシンデレラを見せ、学ばせた”忍耐・謙虚さ”の心。ー
・そして、ビーナスが満を持して出場することになった、バンク・オブ・ウェスト・クラシック。試合前にプロ契約300万$の申し出を、毅然として断るビーナスの言葉。
又、コートを寂しげに見つめる妹セリーナにリチャードが優しく言った言葉。
- ここは、沁みたなあ。リチャードの想いはビーナスに通じ、彼はセリーナの悔しい想いもキチンと見抜いていたのだろう。ー
<バンク・オブ・ウェスト・クラシックの一回戦を圧倒的なパワー・テニスで勝ち抜いたビーナス。
二回戦で当たった、百戦錬磨のビカリオの10分ものトイレ休憩に戦意を削がれ、序盤は攻勢だったが敗北したビーナスにリチャードが懸けた言葉も素晴らしい。
そして、誰もいなくなったコートから外に出た際に待ち受けていた多くのファンの歓声・・。
今作は、テニス映画としても秀逸であるが、ビーナス&セリーナを含め5姉妹を育て上げたリチャードと、妻オラシーンの娘達に対する人生を生きる上で必要な事を様々な手法で教え込むシーンも印象的な作品である。
あのような、育てられ方をしたからこそ、ビーナスもセリーナも40歳を超えても、第一線で活躍出来たのだろうなあ、と思った作品でもある。>
NOBUさん、いつもコメント、そしてお褒めのお言葉ありがとうございます😊
そう言っていただけるとめちゃくちゃ嬉しいですー!
NOBUさんのレビューは“知の宝箱”みたいで、
私はNOBUさんのレビューからいつも学ばせてもらっています!
今後ともよろしくお願いいたします☺️