劇場公開日 2021年10月15日

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「人類が未来永劫追い求めた「精神」とは。優等性が作ったデューン」DUNE デューン 砂の惑星 レントさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人類が未来永劫追い求めた「精神」とは。優等性が作ったデューン

2024年3月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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そのスケールの大きさゆえに映像化不可能とまで言わしめた本作にやっとハリウッドが追いついたといった感じだろうか。
かつてリドリー・スコット、アレハンドロ・ホドロフスキーが監督を断念し、白羽の矢が立ったデビット・リンチでさえも編集権を持たなかったがため駄作として世に出されたいわくつきの作品。
当時の製作サイドは高額な製作費回収にこだわりR指定を避け、年齢関わらず誰もが楽しめる作品としたかったが、当時のとんがったリンチからR指定を奪うことはキムチから辛みを奪うようなもの。結果、誰もが楽しめない作品となってしまった。

監督の才能に理解が足りないプロデューサー側に明らかに問題があった前作から年月を経て、予算、製作者の手腕、才能ある監督と本作を成功に導ける条件がようやくそろったところで実現した今回の再映画化。
前回の「ブレードランナー2049」が評判のわりには興行的に振るわなかったため、かの作品のようなビッグバジェット作品にはもうお目にかかれないかと思っていたところに本作の企画が発表されたときはかなり嬉しかった。
ヴィルヌーブ作品の評価はもはやお墨付きなので本作への不安はなく、今回鑑賞して期待通りの出来に満足できた。
贅を尽くした美術や衣装、演者もすべて魅力的で、そして何よりもストーリーがわかりやすく作品世界に入り込みやすいように作られている。

物語は原作者が言うようにSFというよりは中世騎士道伝説にアラビアのロレンス的なものを加えたようなお話。ちなみに実際のT・E・ローレンスがアーサー王を崇拝していたというのもなんだか感慨深い。

今回は内容的には物語の序章に過ぎず、あまり大きな展開はない。娯楽を求めてきた人は肩透かしを食らう内容だったと思う。私個人的には大好きな監督によるこのシリーズが今後も楽しみで、映画を見る楽しみが一つ増えたという感じ。

ちなみに当時、自らの企画がとん挫し、リンチ版デューンを悔し涙ながら見始めるとそのあまりの出来の悪さに歓喜したホドロフスキーは本作を見てどう思うのだろうか。
その答えは否ではないだろうか。私はヴィルヌーブのファンで本作には好意的だが、しかしある意味本作には驚きはなく想像通りの出来であったことも否めない。あらゆるクリエイターをしてそのイマジネーションを触発し続けた偉大な作品。それをあまりにそつなくお行儀よく作ってしまった点でやんちゃなホドロフスキーには物足りないんじゃないかと想像してしまう。
いまさらながらにリンチのやりたいように作ったデューンやホドロフスキーのデューンも見たかったなとつくづく思う。

公開時、109エキスポシネマズIMAXにて鑑賞。

レント