「壮大な世界観と対比する一人の少年の成長」DUNE デューン 砂の惑星 R41さんの映画レビュー(感想・評価)
壮大な世界観と対比する一人の少年の成長
題名からわかるようにスターウォーズのようなSF巨編だ。
当初作者がこれを書いたときの時代的背景からなのか、どうしても正邪という観点が先に立ってしまう。
物語の動機は非常に単純な資源だが、そのために行われる直民地化の構造は、昨今まであった奴隷貿易と、いまでもはびこるアンフェアトレードと同じだ。
SFというのは、物語の何処かで『設定』について説明しなければならないが、ここでも水やスパイス、サンドワームなどが説明される。
そもそも、様々な文明はどのような科学的進化の過程があるのかは、想像上自由だ。
この世界も正邪があり、宗教的概念とそれに準ずる占いが社会的地位が高いことを表現している。
主人公の少年には不思議な能力がある。未来を見ることができる能力だ。
しかしそれはあくまで現時点でのことで、全部当たる訳では無いし、見たいものが見えるのでもないが、自分の意思決定に関するものは頻繁に見る。
世界観や科学的技術などは大きく違いがあるものの、何故か戦争に使うのが刀だ。さしずめ武士道といったところなのだろうか。
少年は、自らの出生の秘密や母が占い師と席巻させたこと、父の死、友情で結ばれた師匠の死を受け入れながらも、母を連れて敵から逃れ、サンドピープル(仮称)の仲間になるところまでを描いている。
最後の主人公の決闘は、明治時代、または西部劇の頃の感覚だ。つまりいまの現代社会を他の惑星を背景に描いている。
サンドワームの襲撃、側近の裏切り、敵の侵入と敗北… お決まりの設定ではあるものの、アクションを随所に入れ込んで見るものを飽きさせないようにする工夫と、迫力のある乗り物などの壮大な世界観は素晴らしかった。