「どう捉えて良いか分からない印象のまま…」DUNE デューン 砂の惑星 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
どう捉えて良いか分からない印象のまま…
デヴィット・リンチ監督の「砂の惑星」を
再鑑賞して、この作品に臨んだ。
リンチ作品の予習があったことと、2部作に
して事細かく描くことが出来たためか、
話の展開に理解が進んだ。
また、おどろおどろしいリンチ作品に比べ
映像も洗練された印象があった。
しかし、
どう捉えて良いのか分からない物語だ。
原作は誉れ高いSF小説とのことだが、
未読なので、
それが原作のせいなのか、あるいは、
原作に迫りきれていないためなのかは
分からないが、何故か「砂の惑星」の話の世界
そのものに入り込めない感覚。
その原因の一つに、私にとっては、
この作品から何を感じ取れば良いのか、
と言う基本的なモヤモヤ感がある。
リンチ作品を観た際は、
主人公をキリストに見立てている印象も
あったのだが、
この作品は2部作の前半ということなので、
その回答を得ることも出来ない。
従って、「SW」のようなワクワク感や、
「2001」での壮大な宇宙への想い、
またリドリー・スコットの
「ブレードランナー」の生命への想いにも
至らず、
ましてやドゥニ監督自身の「メッセージ」での
時空への不可思議感も湧いてこないので、
ひたすら洗練された映像の世界に浸ること
だけにしか傾倒出来なかった印象だ。
今年公開の後半の作品で
その答を得られるのかは分からないが、
いずれにしてもこの作品単独での評価には
躊躇せざるを得ない鑑賞となり、
リンチ、ドゥニ両監督の「砂の惑星」には
共に肩透かしを食ったような鑑賞に
なってしまった。