「納得のいく映像作り」DUNE デューン 砂の惑星 f(unction)さんの映画レビュー(感想・評価)
納得のいく映像作り
原作小説の映像化ということもあり、ストーリー(プロット)面では疑問を浮かべたくなるような箇所もある。(特に政局面)
しかし映像作りにおいては、美術、衣装、セット、舞台、ロケーションがこだわり抜かれていた。
CGが気になる部分はあったものの、兵士が浮遊しながら降下する場面などは素晴らしかった。
物体をどれぐらいのスピードで移動させるか。ゆったり感。無駄な音楽を廃し、物体の移動だけに視線を集中させる。そのような間の取り方は素晴らしく、『ブレードランナー2049』を継承しながらもさらに発展させた映像づくりになっていたと思う。
アカデミー賞予想
有力:視覚効果、美術、衣装
ノミネート:作曲、撮影
ノミネート可能性もあり:監督、作品
続編ありきでの製作とはいえ、単体の映画としてラストが弱かった(迫力に欠けるものだった)。
とはいえ主人公にとって倫理的に重要な出来事だったのだろう。(主人公の成長)
母・息子の関係性がどう発展していくか、続編では注視したい。
ヴィルヌーヴは「母」というものを重視する監督だ。
主人公が父・部下・仲間を失い、裕福な立場から何にも守られない孤独な放浪者となる様が丁寧に描かれていた。
追い詰められていく悲劇性はよかっただろう。
今作においては映像作り面での素晴らしさが際立った。
『ロード・オブ・ザ・リング』に類する大作だと言えるだろう。
大作ではあるが、典型的ハリウッド大作(派手で、豪華で、轟音で、興奮する、エキサイティングな大作)とはまた異なる大作の形として、『ロード・オブ・ザ・リング』の系譜に加わった。(リドリー・スコット的かも知れない)
『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の前例同様、完結編を待っての大量受賞もありえる。そのため1作目での受賞は抑えられるかもしれない。