「砂漠の王」DUNE デューン 砂の惑星 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
砂漠の王
何十年ぶりかに観た「DUNE」
めっちゃ進化してるし面白かった。
もはや当時の記憶は無いにも等しいのだが…こんな物語だったとわ。
王道の展開にも思えるのだけど、主人公の未来を見通す力がなかなかに曲者で…漠然とした選択をするのではなく、彼は時にその未来に反抗したりする。
観ている未来も1つではなくて、それが何に作用されてビジョンを変えるのかは分からないのだけど、明確な意思をもってその未来を変えていくのだ。
そんな反骨精神溢れる性格なのに、あの容姿。気品漂う横顔。男の俺が見ても綺麗だなと思う。
おまけに声による強制睡眠みたいな能力も持ってて、なかなかにワクワクするキャラなのだ。
どうやら何部作かになるみたいで、本作はpart oneと銘打たれてた。名家のボンボンが砂の民と合流するまでが描かれてる。
皇帝の政治力とか、敵勢力とかサンドワームとか見所はいっぱいあって、何より胸を躍らせてくれるのはSFの空間表現。
…もうホントに素晴らしい!
何十年も前のDUNEもSF超大作ではあったのだけど、当時の評価としては俺の中でも低かった。
作品の内容に映像が追いついていかないような印象があった。物語としては面白いが…みたいな。
ところがだ!
その物語を何倍にも広げてくれる映像の数々。
想像の斜め上をいく宇宙船の造詣とか、都市の雰囲気とか、内部構造とか…クリエイターの想像力を存分に堪能できる!
初見のサンドワームの異様さったらない。
圧倒的な存在感で、今作でも一際目立つ。
今まで夢でしか登場しなかったヒロインとも出会うのだけど、なかなかに衝撃的な出会いだった。
この粗野な感じも、なんかいい。
おそらくならば、皇帝に反抗する勢力を率いていくのであろう。なのだが、細部を彩るギミックが何から何まで魅力的で…楽しみでしかない。
主人公の数奇なる運命を見守っていきたい。
そうなのだ…。
ここまで映像が特化してたら主人公云々とかはもはやどうでもいいのだが、今作に限っては違う。
彼を追っかけたい。
砂に覆われた世界を揺るがす星で、彼は何を成し遂げていくのか。
お飾りではない主人公の存在感に、監督の手腕とティモシー・シャラメの可能性を感じてしまう。