劇場公開日 2021年10月15日

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「圧倒される」DUNE デューン 砂の惑星 Grace K_LKWさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5圧倒される

2021年10月24日
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原作好きだったとか、リンチ版も割と好きだったとか、ティモテくん気になるとか、吹替の入野自由の声聞きたいとか、色々な要素が絡み合って、とりあえず近所に見に行った吹替版、そして満を持して行ったIMAX字幕版!
良かったわ。
シンプルによかった。
変に説明的じゃないこととか、吹替先に見たからあんまり字幕見ないでも問題なかったこととか(即成栽培帰国子女なので英語のヒアリングは割と得意)、そういうのも含めてよかった。
映像、音楽、音響。
衣装デザイン、狩猟言語、世界観の描き方。
イルーランやフェイド・ラウサを端折ったこと(後半にアリアとかとまとめて出てくるんだろうけど)。
モモアいい味出してるとか、ジェシカの造形が自然でよかったとか、自分が原作読んで見てみたかった萌えどころがどれも丁寧に表現されてて、痒いところに手が届く感があるところ。
砂漠がともかく美しいこと、カラダン、ジェディプライムの雨の美しさ。ノルウェーの海岸の懐かしい感じ(行ったことないけど、スコットランドの西海岸と雰囲気似てる)。
シャラメの10頭身に驚愕し、母子の焦ったい関係性にもヤキモキし、父子の愛に心動かされ、溢れる涙を見るたびにつられて泣きそうになり。

この作品は、人工の神話や伝説を必要としたアメリカ人にとってこそ、意味のあるSFコンテンツなので、日本人にそこまで受けない可能性はあるけど、御伽噺的、英雄譚的なわかりやすい作りも、衒学的な凝り具合も、当時は先進的だったエコロジー的発想も、現代ならではのテイストでうまく表現されている。各所、よくバランスが取れていて、見る価値があると思う。
筋立てそのものは、もろに日本人好みの貴種流離譚だしね。
訳分からなくてつまんなかった、という感想になる可能性はあるけど、ちょっとだけ予習すれば、分からなくなるほど入り組んだ話でもないので、ぜひ食わず嫌いせずに見て欲しいな。
スターウォーズやブレードランナー、エイリアンなどのラインのSFの礎となった、アイデアに満ちた作品だし、王蟲の方が勝ってる、と思ったリンチ版のサンドワームとコンセプトは一緒だけどチャチじゃない。
ありとあらゆる描写の質感が気に入って、作り物に見えなくて、あの感覚を味わうためにも、ぜひもう一度見に行きたいと思っています。

Grace K_LKW