「「PART1」ってなんだよ!んなの聞いてねーよ!」DUNE デューン 砂の惑星 snake666さんの映画レビュー(感想・評価)
「PART1」ってなんだよ!んなの聞いてねーよ!
こんなやり方ってあるのだろうか。公開前に予告やポスター等で今作が「PART1」である事を一切隠し、実は何部作かにわけて作られるって話だったという、こんなパターンで騙されるのは初めてだし、これが監督もしくは映画会社の意図なのかはわからないが、こっちとしてはそんな事は一切聞いてないし、てっきりラストのクライマックスまで楽しめるのかと思いきや思いっきし途中で話をぶった斬るという、観客の期待をここまで裏切る事が許されていいのだろうか!違う意味で金を返せと言いたいし、いつの日か続編をやるのだろうが、やっても映画館には絶対に観に行かねーよ!って思った。
確かにオープニングで出たタイトルの下に「PART1」と表記はされていたものの、こっちとしてはそんなの聞いてねーし、こっちはラストまで観る気まんまんなんだけどって気持ちで鑑賞に望んできたわけなので、「PART1」の表記なんて「は?!意味わかんねーし」ってなり、ガン無視で鑑賞する事になる。
だから前半はデイヴィッドリンチ版との対比を楽しみながら観ていたが、後半のストーリー展開がなかなか進まないあたりから「あれ?やっぱりPART1ってこれ話分けんの!?」って気になり出し、後半は全く話に集中できず、遂にエンドロールが出てきた時には怒りしかなかった。
というわけで今作は事前の情報提供があまりにも無かった事で個人的にはもう作品どうこうより、そのやり方に疑問しか出てこない印象しか残らなかった。
「スターウォーズ」でSF映画の楽しさを知った自分にとっては、デイヴィッドリンチ版の「DUNE」はとても毒々しくその独特の世界観に魅力を感じていた。数年前に観た「ホドロフスキーのDUNE」でも「DUNE」には狂気に満ちたカルト的な魅力がある事も感じた。
つまり「DUNE」は特別な存在である事が自分の中に出来上がっていた。それだけにドゥニビルヌーブ版には大きな期待をしてしまっていた。
苦言を呈してきた「やり方」を差っ引いたとしてもドゥニビルヌーブ版はその特別で独特なものは皆無で毒々しさや狂気はゼロ。ありきたりのビジュアルを見せられるだけであったが、これは予告を観た段階で不安に思っていた事ではあり残念ながら予想は的中する事になる。
「DUNE」に対して個人的な思い入れがある分ドゥニビルヌーブ版はいろんな意味で「DUNE」に「死」をもたらしたと言わざるをえない。
ホドロフスキーはいろんな「DUNE」があってもいいと発言していたが、こんな「DUNE」でもありなのだろうか。命をかけて作りたかったホドロフスキーに対してもこれは「冒涜」でしかないと思った。
本当に観てガッカリさせられた。
☆を0.5付けたのは、砂漠での輸送機のデザインが「ホドロフスキーのDUNE」のものを彷彿とさせカッコいいなと思ったから、そこだけはよかった。